第25話 悪役令息に転生したので、断罪回避のために魔眼の力を解放し人に優しくしてたら異様に好かれるんだが

 その後、七人でよく話し合った結果、俺は五人の中からシルヴィと結婚することになった。陛下からの命令とあっては、逆らえないからだ。


 そして王となったあと、後妻として四人を召し上げた。カインは近衛騎士団に入り、日夜訓練を欠かさずにいてくれる。


 一見順風満帆。丸く収まったように、見えた。


「まあ、四人で夜這いだなんて、学園のころを思い出すわね」

「いくら正妻だからってシルヴィ様ばかりずるいですよ! 私たちだって奥さんになったんですから!」

「そ、そう、です! 精霊さんもずるいって言ってます!」

「ふふふ。でも我が夫はお父様が直々に選んだお人。その人と毎日寝台を共にするのは普通だと思わなくて?」


 ほぼ毎晩これだ。最初はシルヴィが正妻になったことで多少諦めてくれるんじゃないかと思っていたが、立場は違えど同じ妻になったのだからと四人の攻勢は止まらない。


 やいのやいのと始まったのを寝台から抜け出すと、目の前に見慣れた姿があった。げっ、カイン。いつの間に。窓が開いてるから、あそこからか? 地面から何メートルあると想ってるんだよ。


「今日もモテモテですね、殿下」

「嬉しいはずなんだけどな……。こう、争わないで言葉で解決とかできないのかな」

「無理だと想いますよ。みんなキルト殿下が好きでここにいるんですから」


 そう冷たいことを言わずに助けてくれよ。親友なんだろ。そう言いかけた唇はカインの人差し指で押さえつけられていた。


「キルト様はご結婚されてしまいましたが。パートナーの話、僕は諦めてませんから」

「あー! カインいつの間に!」

「女の敵ですわ!」

「同性だからっていっつもずるいのよ!」

「ははは。聞こえないですね」


 魔法やら短剣やらが飛んでくるのを笑って回避しながら、カインはみんなのところに歩み寄って仲介を行い始めた。人の唇に触れておいてよくできたな。


 一時はどうなるかと思った生活も平和になり、憧れだったヒロインたちと、そして相棒と共に生活できる。その幸せを噛みしめながら、俺も仲介に入るべくベッドのほうに戻っていった。




あとがき

ここまでお読みいただきありがとうございました。

半分見切り発車で、自分の性癖も組み込んでしまったのでお見苦しいところあったと思います。

このお話はこれでおしまいですが、ここまでお付き合いいただいて本当に本当にありがとうございました。

またどこかでお会いしましょう。

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悪役令息に転生したので、断罪回避のために魔眼の力を解放し人に優しくしてたら異様に好かれるんだが ぷにたにえん @punitanien

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