第2話 神の庭
地球での存在は違う誰かの人生と代替えになると父親に言われたが、別にそこまでは気にせず、ミロクは了承した。ミロクは9歳にしては非常に聡く、高校生レベルの知識と知恵や思考を有している。
父母曰く、ミロクの知識は父母の生まれた世界にしてみたら賢者と呼ばれる知恵者の集団と同等らしい、いわゆる大学院の教授レベル相当という話だ。ミロクは母親と色々と対話することで大人と話せるような理解ももっている。
恐らく神童と呼ばれてもおかしくない域の。
そして父母に連れられてきたのは真っ白な空間。
静かな空間に穏やかな空気。
「ふむ、久しい男がいるな」
突如、木の杖をもった白いローブの長い白髭の老人が現れた。
「久しいな、賢神スピオリネ」
「聖魔の勇者である君との時間はどれほどかね、少し老けたか?」
「はは、経験が表情に出たといったところか、元より我等は不老であり不死だ、年齢なぞ大差ないよ、まあ経験により樹齢のように肉体の変化はあるようだがね」
「そうさなあ、神とはいえ経験することにより魂を向上し進化するからのう、元は時の精霊だった私もまた神になったものだ」
賢神と呼ばれたスピオリネはくすくすと笑う。
「まあ君もまた魔なる者から聖なる者を経て神になった者だ、それより君がいるという事は彼女もいるのかね」
「ここにいるわ、父様」
スピリオネはにこやかな笑みを浮かべ
「おうおう、このような時を超えても父と言うてくれるか、嬉しいことよの」
「貴方が孤児である私を引き取り育ててくれたからこの人とも出会えて大切な友とも出会え、この子も産まれたわ」
トワはにこりと笑い、ミロクを前に出す。
「いい面構えじゃの、地球の神から聞いていたが、地球で育った我が孫は実によい顔をしている」
「お爺ちゃん?」
ミロクの言葉にスピリオネはにこりと微笑む。
「神に至り、娘もまた神の伴侶となり、その伴侶もまた神に至る、孫は未だ人ではあるが、一体どのような未来を待ち受けるのだろうなあ」
ミロクの目線に合わせ手元に魔力の光を灯しながらにこにこと笑う。
「ただこの子がしたいようにするだけさ、この子の兄と姉はすでによい道を得たからな」
「ふむ、では地球より帰還するのだね」
「ああ、元より地球の神からの依頼はこの子が物心つくまでとの契約だからね、少なくとも俺達の次代の召喚勇者の問題は片づいたはずだ、自然な召喚は回避はできないはずだが、生贄や大量魔力を消費しての召喚はできなくなったはず、まあ創造神レベルや上級神、大悪魔や魔神レベルはその限りではないが」
「まあ一時期こちらの世界が荒れに荒れて空間制御がうまくいかずに地球からの資質ある若者達が召喚される事例が増えたからね、初代召喚勇者は君だったし、まあ君の場合魂のみで転生という形だったけど」
「まあなんだかんだ生き抜いて最終的には地球には戻れたからいいし、どちらにしてもこちらの世界のほうが性にあってたからな」
真一は肩を竦める
「まあ、なんだかんだ地球でも魔法はつかえたし、肉体も全盛期と変わらず鍛えたらレベルもあがる、何でも屋なんて商いでもなんだかんだ家族に飯は食わせられたし、一応地球の神とこちらの創造神と相談して問題ないレベルの地球の技術は送ったしな、まあ当面はあちらの世界でも問題ない生活はできるだろう、一応この子の一番上の姉が国の重鎮をしている国があるから、当面はそこを拠点にこの子と世界をまわるかな」
「おお、あの子なら問題はないな、寧ろ一番溺愛しそうではないか?」
「ああ、まあなあ、この子の赤子時代の写真を未だに飾り立てているらしいし、これから転移するといったら非常に喜んでいたよ」
「はじめて会う弟は特別だろう、それにまだ可愛く幼い弟ならなおさら」
「確かにもう大人だからな、あの子達は」
真一はにこりと笑う。
「一番上のお姉ちゃんてどんな人?」
「そうね、女騎士って感じかしらね」
トワはミロクの質問に答える。
「アロンドちゃんはそうね、あっちの世界の大きな国の近衛騎士をしてるの、王様の一番頼りにしてる護衛って感じかしらね」
「アロンドっていうの?」
「そう、アロンド=シルファリア、お母さんのお姉さんみたいな人の娘で、そうねえ、ミロク君からしたら、血の繋がらないお母さんでもあるかしら、アロンドちゃんのお母さんは」
ミロクは首をかしげる
「お父さんはお嫁さんはお母さん含めて八人いるっていってたけど、それはいいの?
」
「そうね、日本ではよくないけど、これから住む世界はそれはいいの、寧ろお嫁さん沢山いる方がすごいっていわれるわね、それにお母さんも含め、皆お父さんを愛しているし、お父さんのお嫁さんたちも皆仲良しだから問題ないわ」
トワはにこにこと笑う。
「はっは、まあミロクちゃんからしてみたら不思議な話だ、おいおい、知っていけばいいだろう、それよりミロクちゃんがそちらにいくなら私もいくか」
「お爺ちゃんきてくれるの!?」
「そこまで喜んでくれる嬉しいのう、大丈夫だ、仕事はもう100年分くらいはきちんとやったし、部下達が問題ない程度に任せれるようなのしか残ってない」
「いつもやる事はやってますね」
「真一君、神とはいえ仕事はため込んでいたらいずれ時間に追われる、いくら無限だとしても襟元は正さんと怠惰にしかならんからな、出来る事はきちんとすることだよ、部下にも同じ事が言える、休める時に休んで働ける時に働けるのが大事なんじゃよ」
スピリオネはそういうと
「さて部下達には連絡は済んだし、他の神達もざわついてる、孫にもよくない影響の奴もいるから、さっさといこうかの」
「まあ情欲の神とかいたら大変そうだもんな」
「そうね、ミロク君、お姉ちゃんに会いにいこうね」
「楽しみだ!」
ミロクの笑顔に三人は笑う
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