第26話 黒星旅団
「ああ、そうか、末の弟が来たんだったな」
とある大森林、黒い服と黒いコートと黒いブーツ、黒い短髪に230センチはあろうかと見える巨大な男が、呟く。顔はどことなく真一に似ていて、その瞳は金色であり、どことなくこの世界の人種とはまた違った雰囲気を纏っている。
「団長―、会いにいくんすか?」
黒いフードを被った軽薄そうな青年が声をかける。
「ああ、恐らく、他の弟妹達もいくだろうからな、それに親父からも定期的に写真は送られてきていた」
団長と呼ばれた巨大な男はにこりと笑うと懐からミロクの写真を出した。
「別世界で暮らしていたらしいからな、色々と物珍しいものもあるんだろう、妹の話ではとても礼儀正しく良い子らしい」
「それはそれは我が旅団も挨拶しないといけませんねえ」
ハープに似た楽器を奏でながら緑色の帽子を被り緑のローブを纏った耳の長いエルフの男はにこやかに呟く。
「まあ、家族で会うのも久しいし、久々に末の妹のダンジョンにも行くのも悪くはないだろう」
団長と呼ばれた男はにこりと自らの旅団の団員達に眼を向けると
「ここの依頼は終わった、休暇も兼ねて遊戯の盤上にいく」
そう言うと同時にそれぞれの団員達は歓喜の声をあげながら了承の意を示した。
団長・・・真一の長男でもあるこの男の名は龍堂ミョウオウ、母親はこの星の種族ではなく、遥か彼方の宇宙と呼ばれる天体から来た種族で意思疎通のできる女性体のいわゆる異星人という存在だった。当時真一が住んでいた村に宇宙船ごと不時着し、救出された後恋仲となり、ミョウオウが産まれた。異星人特有のスキルと勇者の資質を持つこの世界の住人とのサラブレット、英雄ともいえる資質を持つミョウオウは、自らの力の異質さに早くに気づき、物心をつくと同時に母と父に旅に出る事を告げ、世界をまわることにした。
旅人として世界をまわり、多くの民や国に出会い、時に戦い、時に滞在し、様々な種族に出会い、彼を慕う者達が自然と集まりどこにも属さない旅団となった。
黒い光を操るミョウオウを人々はいつの間にか「黒星」と呼ぶようになった。そしてその名をつけ黒星旅団(こくせいりょだん)という名を名乗り、世界の神秘を探す目的と自らの力を高め零れ落ちた世界に取り残された者達を拾い上げるそんな旅団となった。
時に誰かの依頼をうけ、時に共闘し、世界をめぐる旅団は、吟遊詩人の語る物語としても多く語られ、旅団の物語は尽きぬことのない物語として語られる。
末の弟と出会う事でミョウオウ達の旅団の物語はまた語られる。
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