第24話 傭兵

白髪に長い髪、美しい青色の瞳に勝気な表情、見る者が見たら誰もが振り返るような美しい顔、どこか凶悪めいた表情に、楽し気な笑い、身長は170くらいだろうか、黒のジャケットに白いシャツと黒いジーンズに黒のブーツ。軽装でありながらも何一つ傷すらもついていない。


彼女の名前はサーラ=レミントン、アキラの母であり、この世界にギルドという仕組みを産み出した張本人。三番目のダンジョンマスターとの交戦はなんだかんだ飽きたと同時に撤退し、詫び程度のダンジョンの維持として使える物質を置いた。相手も相手でそうするくらいならば最初からするなと抗議文も出したと同時に感謝の文を伝えてきたので相変わらずだなあと苦笑する。


サーラ=レミントンは元々孤児であり、たまたま戦う力を持っていたので戦っただけだ、両親がどんな人間なのかわからないし、そもそも興味がなかった。自分の異質な力は物心ついた時には知っていたし、わずか5歳で魔王種とも戦える力を持っているのも異常だろう、居場所を転々とし、力をつけて寿命という限界すらも消失したころ、自分の力におびえていた種族ばかりいたのに、気づけば隣に真一がいた。出会いは単純でたまたま世界を滅ぼそうとしていた魔王種がいてそれが思いのほか強く苦戦していた時にたまたま共闘しただけという話だ。その時には真一の妻が何人かいて、その者達とも共闘していた。気づけば真一達の旅に連れだって歩き、多くの仲間に恵まれ、多くの種族とも心通わされた。

真一とも恋仲になり、他の妻同様に妻となった。その過程の中でギルドという仕組みを作り、護るための組織を作る事に尽力した。初代グランドマスターと初代暗殺ギルドのマスターという名誉称号ももらったが、サーラはサーラで終わらない生を怠惰に過ごすのをよしとせずに、現役に戻る事にした。後継には息子と同じように自らの技術を伝えた弟子を暗殺ギルドに、そして真一の母であるはじまりの魔女の養子である少女を冒険者ギルドに、自らの力の意味を知らずに戦っていた少女は永遠の命と遥か高みを研鑚しながら家族と世界を護る選択をした。


彼女は傭兵として世界をかけめぐる。


「しばらくあの子にも会ってないし、ミロク君にも会いに行こうか」


息子を思い出し、妹とも見ているトワの息子でもあるミロクの事を思い浮かべながらサーラはくすりと笑う。


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