第4話 賢王国ルルーティア

アルベリト中央大陸四大大国の一つ賢王国ルルーティア、魔法の技術が盛んであり、あらゆる古代技術を解析され、古代文明の技術を現代にも復活させている。神と人が共に生きていた時代、あらゆる覇権を持ち、争い文明を育んでいた時代。地球からの転生者が多く来た時代、異界とこの世界の技術が重なり合い星の海をも航海していた時代の力がこの世界に息づいている。あらゆる大陸の魔法使いの人間達が研鑚を積みにこの賢王国の学問に触れにくる。現在この賢王国を治めるのはハイエルフの女王マルキエス=ルルーティア、古代文明の時代に生まれ、今も尚その美貌を衰える事はなく、優しい笑みで民を護っている。

伴侶は今もおらず一説には今も片思いである異種族の男性がいると噂でその話は今も純潔を護り高潔な女王として語り草になっている。


また魔法だけではなく文武両道という目的を持ち、魔法の練度も武術の練度も高く、生半可な国の騎士団では太刀打ちが出来ず、この大陸最強の国の一つと言われても過言ではない。


加えて他種族国家であり有用なものであればどの種族でも召し上げる事から成り上がりもしやすい国でもあり、上昇志向の強い傭兵や冒険者達は日夜城へと足を運ぶ。


女王は顔に似合わず屈託のない性格でどんな種族とも仲良くなり、文化に合わせて話をすることから女王を慕うものは後を絶たず、民からも兵からも愛される良き女王だ。


賢王国ルルーティアには一般兵からなる第一軍と魔法兵からなる第二軍、工兵からなる第三軍、治療兵からなる第4軍、女王直属となる近衛騎士からなる特務軍があるが、いずれも能力は高く、戦争やモンスター討伐についても高い成果をあげている。


そんな強者を束ねるルルーティアは父親である真一とトワとも友人である中でかつてとある大きな戦いの時傭兵として現れた真一とトワと共に戦い勝利した思い出がある。

勿論人の身で現れていたスピリオネとも知己であり、スピリオネと共に魔導の探求をしたこともある、なので



「あらーーーー!!可愛いわねえ!!アロンドちゃんがいつも自慢してただけあるわあ!!」


「じょ、女王!!」


にこにことしながら綺麗なプラチナブロンドの長い髪をお団子頭にして緑色の美しいローブを着た美麗な耳の尖った蒼い瞳の女性は声を高める。


隣にいる赤い甲冑を着た赤い髪に緋色の瞳をもったしっかりとした凛とした美女が焦りながら声をかける。


「ああ、あっちの世界でトワが生んでくれたミロクだ、お前にも映像送ったろ」


「久々ね、マルキエス」


真一とトワはにこにことしながら友人であるマルキエスに声をかける。


「息災でなによりだね、マルキエス君、ん?どうしたんだい。ミロク君」


「いやはは」


ミロクは照れ臭そうにスピリオネのローブの裾を掴む


「はは、はじめてのお姉ちゃんに照れておるのか」


「!!」


赤い髪の美女は反応する。


「そうだなあ、アロンドも久々だもんな、俺と連絡するときもいつも一番にミロクの事を話すもんなあ」


真一はにやにやと笑う


「アロンドちゃん、いつも話してたもんね」


トワもにこにこと笑う


「お父さん!トワ母さんも!!」


「あら、どうせ、弟君の前でかっこいいお姉さんになりたいんでしょうけど、どうせ頬がそんなに緩んでるんだから、もう無理だから、無理しないの」


「マルキエス様!!」


「まあ、いいじゃないか、どれ、真一君とトワと儂はマルキエスと話があるから、折角だ、お城を案内してもらいなさい、いいだろう?マルキエス君」


「ええ、いいですよ、先生、アロンド、弟君と散策してきなさいな」

マルキエスの言葉に赤い髪の美女アロンドは背筋をただし


「は!わかりました!!」


そう言うと同時にミロクに眼を向けにこりと笑った。



「えっと、アロンドお姉ちゃん?」


「おっ!おう、なんだミロク」


王の間を抜け城内の廊下を歩くミロクとアロンド


「アロンドお姉ちゃんは長女?」


「ああ、長女だな、この国で近衛騎士の任務についている」


「近衛騎士ってさっきの女王様を護ったり?」


「そうだな、マルキエス様の守護をしたり、重要度の高い任務をしたりしてるな」


ぎこちなくもアロンドはにこやかに弟の話に応えている。


「魔法とかもしたりできるの?」


「そうだな、魔法も習得しているし得意ではあるが、剣の方が好きだな」


「剣なら僕もお父さんに習ったよ」


「そうかそうか、ふふ」


アロンドはにこやかにミロクの言葉に頷く。


「だめですって!!」


「いいからいいから!!俺も身内なんだから!」

兵士の声が聞こえると同時に振り返ると


白髪のオールバックにした軽薄そうな蒼い色眼鏡をかけた黒い服を身に纏った高身長の美青年がからからと笑いながら現れた。


「・・なんでここにいるんですか、アキラ兄さん」


「ご挨拶だな、妹よ、一番下の弟がこっちに来るっていったらお兄ちゃんだって来るよ、ああ、親父とトワさんと爺さんとマルキエスさんには声かけてあるから大丈夫よ」


「なんでそこは律儀なのよ」


「妹の反抗期が怖いなあ、お前もいい年なんだから、兄ちゃんに辛辣すぎんの、困るよ?」


「貴方の生活態度を見直してください、ミロクに悪影響しかないんだから」


「相変わらず妹ちゃんはお堅いなあ、どれ、やあはじめまして、弟君、お兄ちゃんは龍堂アキラだよ、半分は人間じゃないけどよろしくね、とりあえず三番目の兄ちゃんだ、いやー親父とトワさんのいいとこどりだなあ、いい男になるぞ、これは」


アキラはカラカラと笑いながらミロクの頭をなでる。


「アキラお兄ちゃんは半分人間じゃないの?」


「いいねえ、アキラお兄ちゃん、ぐっときちゃうねえ、そうだなあ、まあ基本親父が種族的に進化して神の部類だからな、ミロクはまだ人族だろうが、そのうちに資質が目覚めるだろうから、まあ目覚めた時に教えてやるよ、俺の母ちゃんは人の領域だけど人をやめてる系人種だからなあ、まあそのうちミロクにも紹介するよ」


「うん、アキラお兄ちゃんのお母さんにもアロンドお姉ちゃんのお母さんにも会いたい」



「「・・やばいわ」」


アキラとアロンドは鼻を抑えてうずくまる。


「やばいなー親父から情報もらってたけど生で見るともうブラコンなるわー、マジミロクの為に世界滅ぼしてもいいってなるわー」


「兄さんが言うとわりとマジに聞こえるからやめてください、あなた冒険者界隈でも傭兵界隈でも厄ネタ扱いされてるんだから」


「妹ちゃん容赦ないねえー、こちとら世界の抑止力として頑張ってるのに」


「アキラ兄さんは努力の方向性が間違ってるんです、末の弟が来たんだから兄としての振る舞いをもっと考えてください」


「辛辣う」


アキラは肩を竦めながらミロクを抱き上げると


「しっかし軽いなあ、飯くってる?」


「丼飯二杯はたべる」


「おーいいねえ、子供は沢山食べて遊んで大きくなるのが仕事だからなあ」


「アキラ兄さんがまともな事いってる」


「失礼な、たまにはお兄さんだっていいますよ、ミロクは腹減ってる?」


「確かにお腹すいたかも」


ミロクは照れ臭そうにお腹を鳴らすと


「おっけー、アロンド、ミロク食堂に連れてこうぜ」


「はいはい、確かにもうお昼ですもんね」


アロンドは肩を竦めてミロクに微笑みかけた。




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