第10話 三女来襲
「おい、ミリアリア、いつの間に来てた」
「あら、御挨拶じゃない、アキラ兄さん」
寝起きに頭が痛そうな顔をしながらアキラはため息をつく。裸に近いような恰好でミロクを抱きしめながら一緒にいる妹を見ながらため息をついた。
「セバスもいるか?」
「はっ、ここに」
後ろに現われた馴染みの執事を見ながらアキラはため息をつく。
「ミリアリアは刺激が強いからタイミング見てとお前にはいってたよな」
「そこはお嬢様ですので」
「うちの妹達は野性の勘はひどいってことね、おい、俺以上にミロクに悪影響だから、ちゃんと服を着てこい、顔とか洗って、飯食うぞ、どうせお前もしばらく泊まるんだろ」
「兄さんたらわかってるう!」
アキラはため息をつくと頭をがしがしと掻いた。
「ミロク、ミロック」
「なあに、ミリアリアお姉ちゃん」
「お、お!たぎるう!!この子と半分血繋がってるのたぎるう!!」
「黙って飯を食え」
アキラはため息をつき、燐火達に作ってもらった和食料理を食べながら肩を竦める。
ちなみに今日の献立はこの世界の鮭に値する焼き魚とわかめの味噌汁に卵焼きと白米。この世界も地球の技術や生物も流れ着き独自の進化をしているので、地球と生物に関して言えばそんな大差はない、魔物はまた別ではあるが。
燐火とアイスとフレアも静かにご飯をたべ、ルーファウス達は泊りがけでデートをしている。セバスもまたご飯を食べている。
ミリアリアは露出度を抑えたキャリアウーマンのようなスーツを着ているが、多分趣味だろう。
「まあミロクは別に問題ないだろうが、お前の場合種族特性で男を魅了しやすいんだから、気をつけろよ」
「あら、別にコントロールできるからいいじゃない」
「魔王までいってるレベルの奴がぽんぽん現れるのが問題なんだよ」
「あらここにいるから大丈夫よ、兄さんだって色々口説いてるじゃない」
「俺の場合ちゃんとケアもしてるから問題ないんだよ、お前は放置だろう」
「夢中になる方が悪いわ」
「ああ、もうお前はいつもそうだなあ、まあいい、こういう話はミロクに聞かせるもんじゃない、やめるぞ」
「そうね」
「セバスさんの箸の持ち方上手だねえ」
「ふふ、私もミロク様のお父様に色々ご教授されましたからね」
「ああ!!セバスずるい!ミロク、お姉ちゃんだって箸持てるわよ!!ほらほら!!」
「ああ、黙ってくえ!!」
アキラが注意すると同時に空間が揺れる。
「・・・なるほど、この街の怖さを知らないバカがきたか」
アキラの眼がすっと細まる。
どこの世界もなんだかんだ力を求める者は現れる、不死の龍王、その存在だけで何が得られるのかと夢想するものも、龍は力の源泉であり、狩れば狩るほど強大な力を得れるとされる、悪逆の街クーロン、不可侵のこの街の恐ろしさは誰もが知る所だが、時に忘れる愚者もいる。まあもっとも運が悪かったのは。
「魔王とランクオーバーがいることだねえ、エイジのおっさんも結構イラついてるみたいだし」
アキラはそういうと
「どこの国かしらね」
「さあ、最近戦争をしかけてる聖王国あたりじゃねえの?」
「まあすぐ滅びるから問題ないわね、一応空間防御の結界はったし」
ミリアリアの言葉に味噌汁を啜ると
「どうするの?」
「まあエイジのおっさんがなんとかするだろ、なんなら外みるか?」
指をぱちりとならして映像が現れる。
「兄さん相変わらず器用ね、映像魔法」
「まあ仕組み自体は問題ないからな、はじまるぞ」
映像の先、街の外一人の巨大な黒いスーツを着たいつもの男が歩く。
「どこぞの国が何用か」
「我等聖王国の軍勢!不死の龍王!!そなたを狩りにきた!!」
エイジはふむと頷く
「理由は?」
「この街に我が国の罪人が逃げ込んでるときいた!!故にそれを匿う!!??」
「ふむ、些細な事だ、この街に法はあらず故に受け入れる、この街に滞在するという事は力あるもの、力あるものには我等は敬意を表する」
「・・・がっはっ」
「この程度の闘気で息を塞ぐか、練度が足らんな、まあ理由にかこつけてこの街の富と俺の命を狩ろうとしたのだろうが、そのちゃちな龍殺しの剣では殺せないぞ」
「!!」
眼の前の白い鎧をつけた紅い剣をもった軍団は同様する。
「何故、私が不死の龍王、破壊の龍王とされるかその身をもって味わうがいい、些かおとなしくしていてこの街に手を出す意味を忘れたならば思い出させるのも一興か」
エイジは巨大な黒龍へと変化すると同時に覇気を全開にする
「まあどうやらアキラやいつの間にか来たミリアリアも防御結界を張ってくれているようだし、全力でやってもかまわないか」
そう言うと同時に巨大な口を開き黒いブレスを吐き出した!!
「わーお、滅龍のブレス、魂すら輪廻に戻さない破壊の力宿すブレスじゃん」
「そういえばエイジおじさんも神の権能もってたわね」
「ああ、破壊を司るな」
アキラとミリアリアの言葉を聞きながらミロクは眼をキラキラとさせ残りの四人は唖然とみていた。
「ふむ、たまにはストレス発散としていいな」
人化状態に戻ると同時にエイジは空をみると
「さて聖王国の王よ、お前はこの街をみているようだが」
エイジは獰猛な笑みを浮かべ
「またお前たちが攻め入るならばお前たちの国を滅ぼすと知れ」
空間が恐怖に震えると同時にエイジは肩を竦め街へと帰った。
「最古の龍王の逆鱗久々にみたなあ」
「圧倒的ねえー」
「エイジおじちゃんすごいなあ」
「まああれで成長限界なしで今も尚レベル上がってるらしいからなあ」
「何それこわい」
アキラはご飯を食べ終わりお茶を飲むと
「燐火ちゃんごっそさん、美味しかったよ、さて仕事もある程度片付いたし、どうするかな」
そう伝えた。
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