第二章「想い人との邂逅」

第二章〜プロローグ〜


 私の両親はとても仲の悪い夫婦でした。


 いつも家に帰ると二人はお互いに距離をとっていました。時には激しく喧嘩し、傷つけ合い、お互いに陰口を叩くことだって何度もありました。その度に私は辛い気持ちになりました。


 昔、私の家族はとても仲良しでした。


 お母さんも父も昔は本当に仲良しで、私はそんな二人のことをとても誇りに思っていました。しかしいま考えてみると、その頃二人が仲良しだと思っていたのは私の幻想に過ぎなかったのかもしれません。


 いつの日か二人は変わってしまいました。ある日を境に二人は忌み嫌い合うようになってしまいました。


 私はいつか仲直りしてくれることを祈っていました。しかしそんな私の願いも虚しく二人は仲直りすること無く、お互いの間に出来た深い溝をどんどん広げていきました。私の大好きだった家族はもういません。


 やがて私は自分の家族のことを憎むようになりました。


 どうして仲良くしてくれないの?昔は仲良しだったのに、どうして喧嘩ばかりするの?私の心の叫びは彼らに届くことはありません。


 私は憎しみばかり溜まるようになりました。自分の家族のことが心から嫌になっていきました。


 そしてある日私は家出することを決意しました。

 自分の家族との生活を捨て去って、私は終わりなき旅路へと足を踏み出したのです。



___他の家の家族になることの出来る”托卵の帽子”という魔法具を手に持って。

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