特別編:「ククースの親友」

一話「思い出す親友との思い出」


 私は今日も家出中です。


 朝起きて、目に前に広がるのは知らない部屋。ここは昨日気まぐれに泊まらせてもらった、托卵の家族の家の一室。私はいつも見知らぬ家の小さな部屋で朝を迎えるのです。


 私は眠たい目をこすりながら、洗面所へと向かいました。


 髪をおさげにして、黒い茶色のリボンでくくり、横から二束ハネる髪をばってん上にとめ、今日も鏡に向かいながら髪の毛を整えていました。私は昔からくせっ毛なので、髪の毛のセットが一苦労です。


 私がこれでいいかと髪の毛を撫でると、しっかり留めたはずのヘアゴムが解け、床に落ちました。私はそのヘアゴムを拾いました。


 普段なにげなく、髪の毛をまとめるのに使っているこのヘアゴム。このヘアゴムは私の大切な親友がくれた大切な宝物なのです。


 私はそのヘアゴムを手のひらの上に乗せて眺めながら、過去の思い出を思い出していました。


 

 ___遡ること、数年前…


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