うひめ(牛女)

1.概要

 市内を徘徊し、中高生くらいの少年少女を襲う牛女の怪異。発生時は市内で警告が打ち出される。その正体は金子鈴美の分霊あるいは彼女に当てられて同一化した市内在住の少女である。頭部は牛、それ以外は豊満な女性で、赤い着物を着ている。

 怪異の特性として、少年少女を捕食し、新たな怪異として産み直すことが可能である。これは金子鈴美が信仰を得る中で薬子母神の性質を模倣したためであると同時に、金子鈴美が怨念を向けていた香織や菅沼と近い年齢の少年少女を襲っていた。

 また、「うひめ」を見た同年代の少女は同じく「うひめ」となる場合があり、ネズミ算式に増え続けることがある。これは「うひめ」がまだ「牛女」ではなく、あきひずさまの特性を得ていない(まだあきひずさまが健在だった頃)の錫見原市生成初期(本編前)で実際に起きたことであり、三大神社の宮司らのみが記憶していた。そのため「うしめ」発生時の警告を打ち出すように連絡したのは宮司らである。

 

2.行動指標

 12歳から17歳の少年少女を探し、捕食する。成人した人間を発見しても自発的行動は行わないが、半径1メートル以内に入った場合は無差別に襲い、捕食する。成人は怪異の産み直しには使用せず、人間の胎児として産み落とす。

 また、香織が住んでいる付近を優先して徘徊し、積極的に「古畑さんはいらっしゃいますか」と訪ねて回る。

 なお、うしめの徘徊ルートは後の金子鈴美顕現の際の徘徊ルートとなる。

 

3.補足・元ネタなど

 元ネタとしては怪談「牛女」と「語られてはいけない怪談としての牛の首」である。特に「赤い着物」についてはドラマ怪談新耳袋・絶叫編の牛女、神戸の牛女伝説を踏襲している。また、牛の首要素としては、「見られてはいけない」「情報拡散で不安が増えていく」といった不確定の恐怖感を取り入れたかった目的があった。

 また、「牛女」を「うひめ」にしたのは、それ以前に情報開示している「鴉巫女」の名前から「烏姫」で「カラスが敵なのでは?」というミスリードを行うためでもあったが、本質的には舞台が「東京」であることから「東京弁」という要素を利用したかったことが大きい。※東京弁は「し」と「ひ」ごっちゃになるという特徴がそれなりに有名である。

 キャラクターとしての制作時のコンセプトは「某ブルーベリー色の肌をした鬼が出てくるゲームっぽい恐怖感がある徘徊系クリーチャー」であり、香織の逃走劇的なストーリー編成も初期には思案されていた。しかし、制作目的が「市役所からのお知らせを使った恐怖演出を行うこと」だったことや「Twitterで実況しづらい」という理由から、静的な登場演出となった。

 因みにうしめ警報の演出については、Gmailで市役所アカウントを作成し、予約送信で作者のスマホ宛にメールを送るという手法を取っていた。当初はメール配信形式による演出はこの一回のみと考えていたが、予想外に反響があったことや手軽且つ汎用性が高かったことから、「のじち」の登場演出やその後の金子鈴美からの配信メールとして度々活用することとなった。

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