薬子母神
1.概要
錫見原市の山間部で信仰されていた神様。明屋慈畢愎神と共に錫見原市を作った。明屋慈畢愎神よりもずっと古い神で、自我は薄く自然現象や土地そのものといった性質が強い。錫見原市ではずっと人間の営みを眺めているだけで、自ら動くことは殆どなかった。明屋慈畢愎神や市内の信者が捧げる供物を受け取ることはあり、それらは自分の中(鈴魅母洞)に貯めこんでいた。
市内では最も大きな力を持つ神であり、彼女が祀られていた錫見神社も市内では旧・鈴魅神社(市の中心部にあったとされる鬼≒鈴美の胎児を封じた神社)の正統な後継として扱われていた。そのため彼女を祀っていた井森家は市内でもそれなりに高い地位におり、宮司である井森誠之助は彼女の荒神的な部分をちらつかせて自治体が響介や香織の妨害をしないように口を出していた。
眷属として犬や狼といったイヌ科動物全般を神使として人間に送る。自分自身で犬や狼を生み出すことも出来るが、殆どの場合で既に存在している犬や狼に眷属としての意思を感染させる形で眷属を増やす。そのため市内では錫見神社で神使として育てられている犬を最初の眷属(宿主)として、そこから感染を広げ、市内全域の飼い犬を眷属としていた。ただし彼女自身が動くことは無いため、眷属になった犬は人間のような自由意志を持っている喋る犬になっただけで、基本的には好きなように過ごしていた。彼女の影響が強い錫見神社の犬たちは市が生成されるよりも以前からその状態であったため、市内では比較的よく喋る犬になっていた。
また、眷属以外にも多数の怪異を生み出した怪異たちの母でもある。市内では主に「脳を啜る怪異」「後頭部を捕食する怪異」を産み落とし、錫見原市の基底部を支えていた。
現実の世界でも薬子母神という名を一側面として持つ神である。本尊・ご神体としては薬子母神として井守家が祀っているが、信仰としては薬師如来や鬼子母神、荼枳尼天などの仏教由来のものや、山岳信仰、狼信仰などの「恵みをもたらす荒々しい山神・母神」が混在した比較的新しい民間信仰として考えられてきた。現実での信仰は市内よりも薄いが、井森家やその他が真っ当に信仰・管理をする限りは神としての地位は揺るがない。なお、現実でも信仰対象は東京のとある山である。
2.行動指標
基本的には行動という行動はしない。主に「怪異を生む」もしくは「眷属の犬を増やす」ということしかしていない。
なお毎日1%の確率で身じろぎをする。これが錫見原市でのみ起きる特有の地震となり、薬子母神由来の怪異が活性化する。
3.補足・元ネタなど
根本的な元ネタは「野狗子」という狗頭人体の死んだ人間の脳を啜る怪物。野狗子⇒やくし⇒薬子。これに加えて「人間を食うが信仰されるもの」の代表例として鬼子母神を掛け合わせた。また、「母なる神」として「海」もしくは「山」の性質を足そうと考えた際、「海」には「外部からやって来るもの」といったイメージがあったので「山」を選んだ。また「胎内巡り」の要素として「山岳信仰≒狼信仰」を足し、野「狗」子だったり狗頭ということで眷属を市内の犬たちとした。
野狗子を元ネタにした理由として、「脳をピンポイントで食べる怪物がいてほしい」というものがあった。錫見原市という作品を作る中で、強い神を中心に据えて怪異ホラーにしようという考えがあった。その神を作る際「夢が具現化した世界」という設定だけ決まっていたため、「ではその夢を守る・夢を保持し続けるためにはどうしたらいいか?」という発想から「脳を集めて夢を見る脳を物理的に増やせばいいのではないか(パソコンのメモリとストレージを増やす感じで)」と思って、その脳を集める怪異の親玉として設定していた。
因みに薬子母神の信仰は神仏習合を体現したような、ありそうで存在しない神様として作者はかなり楽しんで作っていた。そのイメージモデルとしては高尾山が大きい部分を占めている。(多分、誠之助は高尾山で山伏修行を経験しているし、響介もいつかやる)
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