怪異

明屋慈畢愎神(あきちゃん)

1.概要

 錫見原市を作った三本足のカラスの神様。かつて海に捧げられた少女を陸地まで導き、その命を救った。その「案内役」としての功績から八咫烏の姿を天照大御神(と思われる何か)から頂いたという。その後、三本足のカラスとして東京で何度も生まれ直していた。ある代の個体が死んだ際、学生時代の守上響子(後の井森響子、響介の母)と井森誠之助が井森家の神社に埋葬し、正しい手順を踏んで葬儀を行ったため神となった。名前の無い神となった後、神社の子として産まれた響介の周囲で過ごしていた。響介が交通事故で入院した際、入院先の病院の庭に一時的に住み着いていた。その際、香織と出会い、香織から「あきちゃん」という名前を付けられ、「あきちゃん」という神様になった。

 あきちゃんになった後、井森家の神社で響介、鈴美、光暉の絵馬が落ちているのを発見し、神様としてその願いを叶えようとする。その願いの集約が錫見原市であった。

 錫見原市では無限に増殖し、喋るカラスとして市内を昼夜問わず監視していた。太陽神(天照大御神)が関わっているため、昼間は善良であり、人を食らうなどは行わなかった。夜には反転し、「視る」ことに特化した眼球を食べることで響介の夢である錫見原を維持しようとした。また、人を食らうことで錫見原の穴を埋めようとした。

 香織がTwitterアカウントを開設したことから、その繋がりを使って自らもTwitter上に現れた。Twitterを使うことで外部の人間に介入できることや、それらを利用して香織に指示することが出来ることも理解した上で活動していた。

 

2.行動ルール

 Twitterで活動できるのは夜の九時頃から深夜三時頃まで。Twitter上での動きは最初からある程度自由だが、初期段階では使える単語が少なかった。リプライ数によって喋る内容が広がり、またリプライする側が言葉や概念を教えると、ある程度は理解を示し、その後その概念を与した行動を取るようになる。基本的には聞かれたことは全て真実で答える。ただし内容は意図的に隠すこともある。

 夜に起きている人間を間引く意味合いもあり、眼球や頭を啄む。しかし、響介や香織は錫見原市形成の元となった願いの根幹にあるため、守るような行動をとる。

 怪異を生み出すのは錫見原市生成初期のみで、その後は自ら生み出すことはしない。

 

3.補足・元ネタなど

 日本神話に登場する八咫烏をベースとして、かつての日本で行われていた鳥葬や野葬のイメージを付随させ、「異界への案内人」「死と生の間にあるもの」としての性格を多く盛り込んだ。そのため要素としては「天(太陽)」と「地下(死、黄泉の国)」という相反するものを持っているため、「昼と夜とで反転する性質」を加えた。

 余談にはなるが、明屋慈悲畢愎神としてTwitter上に登場させた際には当初「不気味」「怖い」という感想が多くあったものの、名前や正体が見えて来るにつれて次第に「可愛い」が増えていくなど、「畏怖が次第に親近感に変わる」「神が妖怪やマスコットに変わる過程」が間近で観察出来たのは良い経験だった。

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