あきひずさま
1.概要
錫見原市の西側を本拠地としていた牛の神様。または牛の神様だったもの。日本からはるか遠くの国(西欧)から信仰を失ったものが、雪だるま式に集まって日本までたどり着いたもの。自らの信仰を取り戻せる居所を探し、辿り着いた場所が錫見原市であった。市内に温泉街と工場地域を作り出し、牛の要素を持つ神(牛頭天王)が身近であった五頭家を宮司として市内に呼び込み、神社を建てた。明屋慈畢愎神との習合を狙って「あきひずさま」を名乗った。その後は市内の人間に神の声を聞かせ、宗教団体を作るなどしていたが、直後に鈴美がその頭(信仰の要、怪奇的存在としての個の証明)を奪い、自分のものにした。このため、あきひずさま≒金子鈴美といった形になり、市内で鈴美の眷属として怪異を生み出し、香織らを襲った。また、人間を食らうことで鈴美に力を与えた。
本質的には薬子母神と同様に自然現象に近い存在であり、自我も薄い。そもそも様々な存在が習合した存在であるため、「神」というよりも「怪奇現象」そのものと言っても過言ではない。ただし、希釈されてはいるものの牛頭天王(スサノオノミコト)や神使いとしての牛(菅原道真など)とのつながりにより、信仰は保っている。
鈴美から解放された後は明屋慈畢愎神とも和解し、錫見原市を去った。その後は五頭家がオーナーとなっているとあるビル屋上の神社に居座り、家内安全、商売繁盛などのご利益がある万能な神様として祀られている。
2.行動指標
鈴美に取り込まれている状態の場合は、香織を中心に他の神の氏子を襲う。主に22時(亥の刻の始まり、戌の刻≒薬子母神や眷属の犬たちの時間が終わる)以降に現れ、錫見原市で目を覚ましている者に対して攻撃を行う。
また、ほかの神が生み出した怪異を真似た存在を分裂にて生み出す。このように生まれた怪異は温泉(鈴美の羊水)を伝って移動することが出来る。
積極的に子供や女性を襲う傾向が強く、逆に成人男性からは逃亡することがある。
3.補足・元ネタなど
鈴美があきひずさまから信仰を奪うことが出来たのは、本作における「牛」という要素と「母性」という要素が近いところにあったから。また、「神から神ではないものに落ちたもの」と「神になろうとしたもの」という表裏の関係もあった。
牛の神の集合体、あるいは牛という存在の神秘が集まったものとしては、以下の要素が入れられていた。
・ケルト神話に登場する「ボアーン」(白い牛)
・メソポタミア神話より「シン」
・ギルガメッシュ叙事詩より「天の牡牛(グガランナ)」
・バビロニア神話より「クサリク」
・ギリシャ神話より「アステリオス」
・エジプト神話より「アピス」「メヘトウェレト」
・スラブ神話より「トゥール」
・中国神話より「神農」
・日本のその他信仰より「牛頭天王」「天神様(菅原道真)の使い」「奈麻戸奴加奈之」
・日本の妖怪として「牛鬼」「件」
・怪談の要素として「牛の首」
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