31話 竜炎の鍛冶師
「金貨を稼がねばならない、な」
僕はハンマーを握りしめながら決意する。
「よい武器を作り、
そんなにお金を稼ぎたいなら、なぜ亡者軍と戦った
そう、僕にはあの場の
【白竜ミスライール】からもらった【奇跡:
では、なぜ使わなかったのか。
それは圧倒的な差を見せつけてしまうと人間はやる気をなくしてしまうからだ。
例えばどうやっても勝てない相手と、もう少しで勝てたかもしれない相手、君たちはどちらに再び挑もうとするかな?
答えは後者だ。
亡者戦争で
大いなる謎と
そう、初期
きっと、謎を解明するために再び冠位種狩りPTは集結するはずだ。
僕にとってあんな美味しい稼ぎ場を一度きりで終わらせたくない。
また大量に仮想金貨を稼げる流れを作るために、【白夜の雨】を発動しなかった。
あとはメルやノンさん、ウタさんに当ててしまったら……数日後に控えるナリヤなにがしたちとのPvPにも差支えがありそうだったからだ。
「可愛いは尊い……」
「ぴいい?」
「貴様のことぞ、ピナよ」
僕がログインしてすぐに迎えてくれた小さな白竜ピナは元気そうだ。
小首を傾げて僕を見上げたと思えば、翼を広げて周囲を飛び回る。それから僕の肩に————頭にどっしりと、とまった。
「こいつめ、いつの間にか羽ばたけるようになったのか」
「ぴっきゅ!」
「そういえばピナよ。先の亡者戦争ではたくさんの食材が手に入ってな。どれ、貴様の
「ぴっきゅぁ!」
ピナには満腹度なるものがあったはずで、ステータスを確認すれば☆☆☆☆☆だった。つまり五段階中のゼロ、空っぽってわけだ。
「ふむ……
ピナはそれら5つの食材は嬉しそうにガツガツと平らげてしまう。
:白竜姫ピナはLv1 → Lv3に上昇しました:
力:2 → 4
防御:3 → 4 敏捷:3 → 4
:スキル【白炎】Lv1 → Lv2に上昇しました:
「ぴっきゅうう!」
んん、普通の
シンプルに
将来はなかなかに頼もしい相棒になるかもれない。
そしてステータスのアップした項目を見ると、どうも命値や力の上昇幅が大きかった。
「戦士などの肉弾戦を得意とする者の肉ばかりを与えたから……ステータス上昇値がフィジカルに偏った? もしや食材によって影響を受ける?」
これはまたピナが空腹時になった時に試す必要があるかもれない。
次は魔法使い系の肉を多めに食べさせてみよう。それで
それはそれとしてピナのスキルも気になる。
【白炎】Lv2とやらもどれほど有用なスキルなのか、僕はさっそく試すことにした。
◇
「ピナ、貴様は天才やもしれぬ!」
僕はピナの吐きだす白い炎を受けて、せっせこせっせこ鉄を鍛えていた。
というのもピナの白炎は【剣闘市の炉】を熱く灯していた。この炉は1000度が限界であるはずだけど、今は1200度まで上昇している。
それならばと、僕は鍛冶にドハマリだ。
「【二連咲き】!」
ピナとの共同作業で武器を作るのが楽しくなってしまい、ついつい夢中で金貨2500枚を消費して新しい鍛冶
カカンッカンッと1回の
美しい火花が鉄と共鳴し、花咲く姿が美しい。
「【魔道打ち】!」
ガツンっと重い音と共に鉄を容赦なく鍛えるのは【魔道打ち】。
これは
その威力も心強いけど、僕は
「ぴっきゅああああ……!」
「ふむううん、可愛いは熱き煌めきである!」
——————————
【
〈タイプ:両手剣〉
〈必要ステータス:力8(片手装備の場合は力11) 色力17〉
〈ステータス補正:力+8 色力+5〉
〈★……刀身+10㎝〉
〈★★……【突き抜ける月光】
〈★★★……刀身+5cm 力+3〉
——————————
渾身の一本目は白く輝く大剣だ。
ふむふむ、【月光伯の大剣 ★★☆】は色力も物理ダメージに影響してくると。
僕がこの大剣を振るえば、けっこうなダメージを入れられるんじゃないかな。少なくとも現時点での
——————————
【月光呪の戦斧 ★★☆】〈レア度:U〉
〈タイプ:両手斧〉
〈必要ステータス:力10(片手装備の場合は力15) 色力16〉
〈ステータス補正:力+10
〈★……力+1〉
〈★★……【不死の呪い】命値が30%以下になれば、信仰2を消費して命値を30%回復できる〉
〈★★★……力+1 信仰+2〉
—————————
ふむふむ、【月光呪の戦斧 ★★☆】は即座に命値を回復できるわけだ。
発動条件に命値30%以下といった縛りはあるものの、僕がこの戦斧をぶんぶんしたら15回以上は命値を30%回復できるわけだ。
魔王のHPゲージが三割を切ったあたりになると瞬時6割に戻るって。しかもそれが15回も続くなんて絶望だろうなあ……。
「やはり今後の課題は★3武器の作成か……インゴットが★3でないと、★3武器を作るのは難しいのかもしれない」
【剣闘市オールドナイン】にある炉はどれも限界温度が1000度で、ピナの力を借りても1200度。
現状、今より上の温度を出せる炉がない。
僕の予想では【月光呪の白石】インゴット★★★を精錬するにはもっと高火力な炉が必要だと思う。
「いよいよ、【剣闘市オールドナイン】の鍛冶炉じゃ限界を迎えたか……」
それに【月光呪】シリーズの素材よりさらにレア度の高い、白竜ミスライールよりもらい受けた【
よし、新しい都市に行こう。
「となると候補は……職人
「ぴきゅ?」
「無論……ピナも余と過ごせ」
「ぴっきゅ!」
僕はスキル【転移の版図】を発動し、新たな都市へとワープした。
◇
※武器紹介
【銅の大剣】〈レア度:G〉
〈タイプ:両手剣〉〈必要ステータス:力6(片手装備の場合は力9)〉
『ステータス補正:力+3』
【鉄の大剣】〈レア度:F〉
〈タイプ:両手剣〉〈必要ステータス:力9 (片手装備の場合は力12)〉
『ステータス補正:力+5』
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