19話 白竜の眷属
「今夜もいい月夜であるな……」
ゲーム内の時間が夜になれば、それは僕にとって魔王としての活動時間にシフトする。つまり、『白き千剣の大葬原』にひそむ仲間たちに呼びかけ、大切なお金稼ぎを始める。
「さあみなのもの、集まるがよい」
草々の影に隠れながら【亡者】たちと『会話』を始める。
「貴様らはなぜこの地に縛られているのだ?」
「
「
「
「
「
「
なるほど……。
【月樹神アルテミス】とやらが元々この地の農民に信仰されていて、多産をもたらす地母神だったらしい。子供の守り神ですらあったと。
それが金と欲望にまみれ、争うようになった人間に嫌気がさして【亡者】にしてしまったと……そして亡者はこの白い
「【月樹神アルテミス】なる者は、今どこにいるのだ?」
「
「
白竜の眷属……【剣闘市オールドナイン】をぐるりと囲む湖にたゆたう巨大な白蛇か。白竜ミスライールとやらの眷属だったっけ。
ふむふむ、面白い。
「【月樹神アルテミス】に【白竜ミスライール】か」
この地にかつて何が起きたのか、その辺をより深く知っていけば色々な魔物と連携して
そんな風に【亡者】たちから『会話』で情報収集をしていれば、『採集』を頼んでおいたグループが戻ってくる。
「さて、今回の『採集』結果は……」
:【亡者】から【月光呪の白石】×12、【血錆びた戦士の魂】×2、【白紙の狂典】×1を譲渡されました:
「みな大儀であった。ふむふむ……前回とは採れた物が異なっているか」
これは頼んだ魔物によって取って来る素材が違うのかもしれない? 同じエリアに生息する魔物でも、その種族が違えば採取できる範囲も変わるし、着眼点も異なるはずだ。
僕は
「ぎゃあああ!? また【亡者】が地中から!?」
「こいつら! 次々と出てきやがる!」
「
あらら。
近くの
「よし……この辺りはもう十分よな。あんまり派手にやりすぎると、いつかのように尻尾を掴まれそうなのである」
何より【亡者】第三小隊と第八小隊が帰還していない。
もしかしたら手ごわい
だから僕は金貨700枚弱を稼ぎ終わったところで、【白竜ミスライール】の眷属とやらに会いにいくことにした。
◇
【白竜ミスライール】の眷属、【白波の
つまり【剣闘市オールドナイン】周辺のモンスターの中では、圧倒的にバランスブレイカーだと思う。
キラさんとの逃走劇の際はお世話になったというのもあり、すっかり危機感は薄れていたけど、餌食になる
湖を泳ぐ【白波の
けれど今回は、感嘆の吐息を漏らすだけでは終わらなかった。
僕は辺りをチラチラと見回し、
あとは【魔を統べる者】で【白波の
「
巨大な水蛇は音もなく橋の真下まで近づき、その太い鎌首をもちあげる。
「綺麗な鱗であるな……」
間近で見ると【白波の
「白竜の眷属らよ、我が声に応じよ」
毎度毎度ほんとに偉そうな発言になってしまうので、羞恥心にフタをするのに必死だ。可愛いは我慢の連続だ。
「
「【月樹神アルテミス】について、何か知っているか?」
「
「では【白竜ミスライール】はどこにいるのだ?」
「
わあ、なんだか乗れそうなので【魔を統べる者】で『乗る』を選択したら、首に乗せてもらえた。正確にはしがみつくような形になる。
湖の中に入る瞬間、【白波の
:【白蛇の加護】を得ました:
:20分間、水中にいても
ふむふむ、普通は水中だと息が吸えなくなって
これはかなり強い
それにしても白蛇は可愛いなあ。
目が宝石みたいにクリックリしてて綺麗だった。
「
「
こうして僕の隠された水底都市の探索が始まった。
うん、ワクワクが止まらない。
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