仮想金貨とVRMMO～幼女魔王のぼく、魔物にちやほやされてたら、なぜかプレイヤーも信者になってました～

5話 弟子ができました？

「よし！　じゃあ最初に【剣闘市オールドナイン】から出てみよう！」

「ほむ」

　キラさんとのモンスター＆人狩りが始まる。

　ワクワクしないって言ったらウソになるけど、ぼくは油断していない。

「あ、橋を渡るときは気を付けよう」

「橋から都市を出るのであるか」

「うん。外に出る橋は全部で4つあって、都市を中心に十字型に伸びてるんだ」

「湖に沈む都市とは雰囲気があってよい」

　石が積まれて作られた橋はアーチ型の立派な物であったけど、所々崩れている部分があり、下手したら水の中にボチャンだ。

「元々はこの橋の下も街だったみたい」

「滅びゆく世界よな」

「それをとどめて、【黄金領域】をもたらすのが俺たち転生人（プレイヤー）ってやつだよ」

　ぼくが橋の端っこから水面を覗けば、真下には完全に水中に沈んでしまった背の低い建物が窺えた。

「あ、釣りもできるけど、力が6以上になるまでしない方がいいから」

「力が6以上……なぜだ？」

「【人妖魚（ケルピー）】って魔物がひっかかると、そのまま水中に引きずられて食べられちゃうぞ」

「ひいいい」

「怖がるルーンちゃんも可愛いな……でゅへへっ…………あ、あと、あの大きな白いやつ！　あれにも気を付けて！」

　キラさんが指さす方を見れば、少し離れた湖面に巨大な白い何かがうねっていた。それはまるで、湖に発生した白い波そのものに見えるぐらいに大きい。

　注視すると視界に【白波の監視蛇（かんししゃ）】と表示された。監視役ってことは人類の動向を観察しているのかな？

　海蛇ならぬ湖蛇をさらに注視すれば、詳しい情報が羅列した。

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【白波の監視蛇（かんししゃ）】Lv47

〈命値20 信仰5 力18　色力5　防御16　俊敏14〉　種族値＋11

古き神『白竜ミスライール』の眷属。

かつて、白銀（ミスリル）を生み出す白竜を信仰した蛇人（スネイル）たちの都『白宝都市ホワイトブリム』は盛況を誇っていた。

しかし、かの地は黄金を求める欲深き人間によって滅ぼされてしまう。

『白竜ミスライール』は地中へと伏し、その悲しみと涙が大豪雨を生み、都市を湖へと沈めてしまった。

〈ドロップ：金貨25枚(10％) 『白銀の鱗』(10％) 『白銀鉱（ミスリル）』(5％)〉

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　ふむふむ。

　かつて【剣闘市オールドナイン】は、白竜を信仰する蛇人（スネイル）たちの都市だったのか。

　そういえば水に沈んだ部分だけは白く綺麗な建物ばかりで、それより上は朽ちつつあるのも何か関係してるのかな？

「あの巨大な水蛇がねー……たまに橋を渡る冒険者めがけて襲ってくるんだ。丸呑みだから、本当に気を付けて。しかも攻略法はまだ判明してないし、名前すらわかってない」

「……なんと？　名も……？」

「ほら、普通は注視すれば魔物の名前ぐらいは表示されるのに、あいつはないでしょ？」

「……」

　ばっちり名前も説明も、この都市の歴史すら見えちゃったよ。

　やはりこれは僕が魔王だからなのだろうか。

「噂だとLvが相当離れてる魔物の名前は、見ることすら叶わないらしい。ま、襲われたら天災に遭遇したって事で、あきらめるしかないな」

「ほむ……恐怖よな」

　そんな事態は避けたいので、僕はこっそり金貨を消費して技術（パッシブ）【魔を統べる者Lv4】をLv5にアップしておく。

　これでレベル50以下のモンスターにも命令が下せるようになり、【白波の監視蛇（かんししゃ）Lv47】は遠方（ここ）からでも『呼ぶ』『乗る』『戦わせる』『採取』『話す』『思考命令』なんて項目が次から次へと出てくる。

　これで一安心だ。

「初期都市を出るだけでも死亡フラグがチラホラあるとは愉快よな」

「橋を渡りきったら、もっとたくさんの危険が待ち受けているよ！」

　キラさんは物凄く嬉しそうだ。

　しばらく白蛇を警戒しながら橋を渡りきれば、これまた退廃的かつ幻想的な光景が広がっていた。

「白い、草原……？」

「【白き千剣の大葬原（だいそうげん）】って言うんだ」

　キラさんの説明と同時に、新しいフィールドに来たからなのか、地名がふんわりと視界に浮かんでは消えていった。

　色そのものを失ってしまったかのような大草原は総じて育ちが良く、成人男性の腰にも及ぶ高さだ。そして【剣闘市オールドナイン】でも見かけたけど、巨大な剣が点々と突き刺さっている。

　まばらにそそり立つ塔のようなそれは墓標のごとく、妙な寂寥感を覚える。

「……美しい光景よな」

「みんな、あの剣を【塔剣（とうけん）】って呼んでるよ。たまに空から降って来るし？」

「空から……？　なぜだ？」

「さあ？　天上で神々が戦争でもしてるんじゃないかって噂もあるね」

　またまたこの地で何が起きているのか気になる。

　白い大草原に空から落ちてくる塔剣。そしてフラフラと徘徊するゾンビ————

「ほ、ほむ。先日は世話になったな、ゾンビよ」

　思わずペコリと挨拶してしまう。

「え？　どういうこと？」

「あ、いやなに……もしやあのゾンビがこの辺の魔物であるか？」

「うんうん、この辺は【亡者】の発生地帯だ。というかルーンちゃんは戦ったことないの？」

「あー……うむ」

「じゃあどうやって、Lv4まで上げるだけの金貨を稼いだの？」

「えーっと……心優しき転生人（プレイヤー）にもらいうけたまでよ」

　ぎりぎり嘘ではない。

　転生人（プレイヤー）をキルしていただいたので、間違いではないはず。

「ふーん。まあ、ルーンちゃんの可愛さなら姫プなんて余裕かあ」

「か、可愛いは余裕である」

　違う方向で納得されてしまった。

　姫ちゃんとはオタサーの姫みたいなもので、男性に貢がれたり優しくされたりチヤホヤされたりする存在を姫と呼ぶ。

　ある意味、僕もモンスターたちにチヤホヤされているから間違っていないのかも？

「ふむ……ん！？　そこなる冒険者が囲まれているな？」

　最初は【亡者】の1人かと思ったけど、旅装姿で他のゾンビよりも俊敏な動きで立ち回る青年が必死に剣を振っている。

　しかし、彼は一体のゾンビに腰回りを掴まれ、さらに二体のゾンビに襲われていた。

　まるで白い黄泉に引きずり込まれるように彼は追い詰められていく。

「あちゃー、あれは欲張っちゃったね。たまに地中から出てくる【亡者】もいるから気を付けて」

「す、救わないのであるか！？」

「ルーンちゃんは優しいね。でも慌てて彼の方へ向かったら、俺たちがあーなるかも？　特に背の高い草の近くは、【亡者】が埋まってる可能性が高い。無闇に草原に入らないこと」

「可愛いは慎重に、とな」

　そんな説明を受けているうちに冒険者は【亡者】に呑まれていった。

　チラリとキラさんを見ると、特に何の感情も浮かんでいないようだった。このゲームでは日常茶飯事な光景なのだろう。

「確認だが、ここは初期フィールドよな？　難易度が高いように見受けられる」

「簡単に金貨を稼げたら運営側も厳しいだろうから、ちょうどいいバランスだと思うよ？」

「ほう」

「さーって、じゃあ俺たちも実戦始めちゃいますか！」

　そう言ってキラさんは握り拳を固めた。

「ほう、素手で戦うのか？」

「いつもだったら短剣と短杖を使うけどね。【亡者】相手じゃ一撃で倒しかねない。俺がガンガン倒していったら、ルーンちゃんの練習にならないでしょ？」

「な、なるほど……」

　さて、僕は【不殺の魔王】だからモンスターを倒しても何ら得はないけど、ここは経験として一度は戦っておくべきだろう。

　そうやってぼくも拳を構えるスタイルだ。

「そういうルーンちゃんも素手なんだ」

「何も装備がないのでな」

「ふふふ、やっぱり拳が一番」

「可愛いは潔く！」

　爽やかに笑うキラさん。

「まずはあの一匹でうろついてる【亡者】を狙ってみよう」

「ほう」

　そうやってキラさんがターゲットを定めた瞬間、背後から野次が飛び始めた。

「なんだなんだ？　初心者講習か？」

「おい、待てよ。あいつって……」

「ろろろろろロリ巨乳ちゃんと、【殺し屋（キラー）】！？」

「キラああああああ。この前はよくもやってくれたなあ？」

「今回はこの人数だ！　ぜってーに不意打ちはくらわねえ！」

「お嬢ちゃん！　そんな危険な奴から離れてッ！」

　振り返れば、6人の転生人（プレイヤー）が俗っぽい笑みを浮かべて近づいてきたのだ。

　彼らを注視すると、頭上に『シモネギLv4』『難波Lv6』『萌えブタLv5』『おにぎりLv7』『明太子Lv8』『ハローくんLv5』と表記されている。

　レベル帯的に言うとちょうど初心者を抜け出たあたりなのだろうか？

　ただ、『おにぎりLv7』と『明太子Lv8』の二人は明らかに他より上等な装備に身を包み、キラさんにものすごい敵意を持っているようだ。

「あははは、こりゃ参ったなあ……」

　ちょっと困った表情を浮かべるキラさんに対して、6人は問答無用で襲いかかった。

「ここで【殺し屋キラ】をキルできたら、【神殿】の連中から報酬がもらえるよな？」

「【剣闘市オールドナイン】の治安に貢献してくれたってな！」

「ロリ巨乳ちゃんが物凄く可愛い……！」

「キラと一緒にいたのが運の尽きだな」

「おいキラ！　ここでしね！」

「え？　あのお嬢ちゃんもキルするの！？」

　というか僕もまとめて攻撃されてしまった。

　正直こんなところでキルされてしまうつもりはないので、僕は全力ダッシュで白い草むらに隠れようとする。

　キラさんは応戦するために短剣を構えた。

　次々とキラさんに武器を振るう6人だったけど、キラさんは持ち前の素早さでヒラリヒラリと猛攻を見事にかわしている。

　とはいえレベル差があっても、さすがに多勢に無勢で戦況は一目瞭然だった。

　それでもどうにか戦えているのは、キラさんの短剣で切り付けた転生人（プレイヤー）が数秒ほど意識を失うからだ。

「夢やぶり、夢あたえん————【夢斬（ゆめき）り】」

　よくよく観察していると立ったままコクリコクリと寝ているようで、頭上には『うたた寝』と表記されている。どうやらそういうデバフらしい。

　あれがキラさんのメインスキルなのだろう。

　一対一でやられたら無防備になりかねないけど、今は6人がカバーするように立ち回っていて、なかなか決定打をかませないキラさん。

　そのうちジリ貧になるのは目に見えていた。

「おい、キラ！　抵抗はやめろ！　さもないと、この子をキルするぜ？」

　あっ。

　声に振り向くと、『明太子Lv8』さんが僕の首筋に剣を当てていた。

　転生人（プレイヤー）同士の戦いに夢中になりすぎて、ついつい注意を怠ってしまった。

「えっと、その子は関係ないっていうかさ……」

　しかもキラさんは僕が人質に取られた途端、なぜか抵抗を止めてしまった。

　あれだけプレイヤーキルを楽しそうにしていた彼だから、てっきり『これは楽しい展開だ♪』とか言うと思っていたのに……まさか僕のために短剣まで放り捨ててしまった。

「ほら、この通り————切っ先をおさめ、安堵に沈め、【雲に眠る（クラウド・ベッド）】」

　ボフンっと次の瞬間、キラさんは白い雲に包まれた。

「くそっ！　『ケムリ玉』か！？　なんだ、このスキルは！？」

　わあお。

　もしモンスターと一緒に転生人（プレイヤー）を襲う場合、こういう消費アイテムやスキル？　にも警戒しないといけないな。

　こんなの使われたら、せっかくの得物にも逃げられかねない。

　僕も含めて『明太子Lv8』さんも視界を真っ白に奪われるなか、背後で何かが衝突する音が響く。それからガシっとお姫様抱っこをされる感覚と、耳元でそっと優しい声がささやかれた。

「さあお姫様、逃走劇の始まりだよっと♪」

　吐息交じりで開幕を告げるのはキラさんで、おそらく背後では『明太子Lv8』さんが『うたた寝』デバフに陥っているのかもしれない。

　颯爽と白い煙幕から抜け出すと、キラさんは一目散に駆け続ける。

「【剣闘市オールドナイン】に逃げるよ。あそこなら彼らを巻ける」

「ほう……！」

　だだっぴろい白い平原では身を隠す遮蔽物がほとんどない。あるとしたら、ぽつぽつと突き立つ巨大な剣塔ぐらいないので、キラさんの言っている内容は正しいのだろう。

「みんなケムリから抜け出せ！」

「おい見ろ！　あいつ女子連れて逃げてやがる！」

「なんかむかつくな……もういい、全力でやっちまえ！」

　彼の腕に抱かれた僕は、完全に彼らに敵認定されてしまった。

　というかいつまでお姫様抱っこされるのだろうか？

「キラよ。余（よ）は自分で走れる」

「そうかい？　でも俺が抱えた方がステータス的に早いかなって」

「素早さ、とな？」

「そうそう。自慢じゃないけどこれでもLv17だからね。素早さだって8あるんだ」

　Lv4の僕が素早さ9もあると言ったら、なんだかまずい気がした。

　彼にはお世話になってるとはいえ、魔王軍にとって狩りの対象である│転生人（プレイヤー）だ。

　ここは黙って抱かれている方がいいのかもしれない。

「それにしてもあいつら……しつこいね」

　キラさんは素早さ8と豪語したわりには、彼らとの距離を開けられずにいた。

　というのもやっぱり僕を抱えている重量分、素早さが下がってしまっているからだろう。

「ちっ、温存してたけど仕方ねえ！　魔法やるぞ！」

「おうよ！」

「我が情熱よ、貫け————【火炎弾（ブラスト）】」

　そうこうしているうちに【剣闘市オールドナイン】の手前にある石橋で、ついに彼らの遠距離攻撃に補足されてしまった。

　複数人から放たれる火の玉が、キラさんの背中で爆ぜる。

　衝撃でバランスを崩した僕らは、石橋のど真ん中で転がってしまった。

「あはははっ、ほんと巻き込んでごめんね」

　ついにキラさんは観念したのかとても申し訳なさそうに、だけど清々しく笑っていた。

　なんとなく。

　なんとなくだけど、キラさんはきっと僕を見捨てることだってできたはずだ。

　人質に取られた時も、短剣を捨てなければよかった。

走って逃げるときも、僕を置いていけばよかった。

　転生人（プレイヤー）をキルして楽しんでいる彼だけど、根っからの悪人だとは思えなかった。

「よっし！　キラしねえええ！」

「イケメンになびくガキもキルしてやろうぜ」

「ロリ巨乳ちゃんをおかす！」

　だから、ここでキルされてしまうぐらいならもうやるしかない。

　こうなってはヤるか、ヤられるか。

　僕は立ち上がって、石橋の下の湖にいる白い波（・・・）を見つめる。

　そこには確かに47レベルの化け物がひっそりとたゆたんでいた。

　うん、なんだかんだ僕はこの状況を楽しんでいる。

「可愛いは、愉快よな……」

「えっと、ルーンちゃん。一緒に立ち向かってくれるのは嬉しいけど、きみはギリギリまで逃げてほしいっていうか」

　キラさんは自分が足止めしている間に逃げろと言ってくれるけど、街まで隠れる場所（・・・・・）が一切ないので、どのみち相手の一人でも僕の方に向かってきたら戦わざるを得ない。

　だから一言だけ、警告してやる。

「……恐怖よな？」

「今さら怖がったって無駄だぞ？」

「やっちまえ！」

「可愛い顔が歪むのが見たい！」

　僕は【白波の監視蛇（かんししゃ）Lv47】を指さし、その脅威を示唆するも彼らはやはり手に持った武器を振りかざしてきた。

「ならば————襲うがよい」

　瞬間、橋の真下（・・・・）に潜んでいる【白波の監視蛇（かんししゃ）】に『攻撃させる』と『思考命令：転生人（プレイヤー）の6人が対象』を実行する。

　代償に僕の信仰（MP）はごっそり12も減った。

「自分から襲ってとか痴女か————」

「うらむなよおおお————」

「やりたい放題ぽッ————」

　咆哮と共に迫る６人だったけど、とつぜん橋に白い虹が架かればその姿は掻き消えてしまった。3体の【白波の監視蛇（かんししゃ）Lv47】が水面から飛びだせば、またたく間に転生人（プレイヤー）たちを大きな顎（あご）で捉えたのだ。

「——わ！？」

「——なぎぇッ！？」

「——ぶひ！？」

　隠れる場所もなく、ただただ三本のアーチに吞み込まれる。

　彼らは為す術もないまま、白い濁流とともに水中へと落ちていった。

「ルンちゃん！　下がって！」

　キラさんが突然の事態に、ぼくを庇うように周囲を警戒してくれる。

　やっぱりぼくを守ろうと動いてくれたのが少しだけ嬉しかった。

「キラよ、問題ない」

「え……でも……ん？　技術（パッシブ）【看破】が……まさか、え？」

　なぜか僕をじっと見つめるキラさん。

　さすがに何かを察してしまったのだろうか？

：オーバーキル発生……キルした転生人（プレイヤー）はLv1に転生：

：シモネギLv4　キル　→　金貨90枚を取得：

：萌えブタLv5　キル　→　金貨140枚を取得：

：ハローくんLv5　キル　→　金貨140枚を取得：

：難波Lv6　キル　→　金貨200枚を取得：

：おにぎりLv7　キル　→　金貨270枚を取得：

：明太子Lv8　キル　→　金貨350枚を取得：

：【銅の剣★☆☆】を獲得：

：【鉄の槍★★☆】を獲得：

　わあ。

　一気に金貨1200枚も手に入ったのは大きい。

　しかも一定の確率で彼らが装備していた物もドロップするのか。

「ほむ。可愛いは幸運よな」

「幸運……？」

「か、かような幸運に恵まれるとは、偶然の事故も悪くはない」

　僕がキラさんにそうごまかしてみるも、彼は目を丸くしながら見つめ続けた。

「ルンちゃん……もしかして身分【魔物使い（テイマー）】なの！？」

「ほう……お、そらく？」

　え、どうしてソレっぽい感じのスキルだってバレたのだろう。

「す、すごいです！　ほんとにすごい！　ね、よかったら私（・）とバディを組んでください！　いえ、いえいえっ！　相棒なんて対等な立場でなくてもいいのです！　転生人（プレイヤー）殺しの弟子にしてください……！」

　なぜか瞳を爛爛に輝かせたキラさんが、必死に懇願してきた。

　そして興奮しすぎた彼は少しだけ口調がおかしくなっていた。

「お願いします！　私と一緒に転生人（プレイヤー）を虐殺しましょう……！」

　さて、僕はどうしたらいいんだろう？