25話 巨人の金槌
「卵は温めれば
僕が気になってリスナーさんたちに聞いてみると、みんな驚くほど迅速に返答をしてくれる。
:尊大なのに卵が気になってるーん
:ルンちゃん可愛すぎるwwひよこを見たいのかもしれないw
:ちなみにだけど、無事に孵化した卵はまだないらしい
:【
:孵化させれば手持ちの【金冠鳥】も二匹に増えて収入アップだもんなあ
:そもそも金の卵って言っても、まんま黄金の卵だしな
:分類は金属っぽいぞ
:
「卵、食べる?」
「うーむむむ……いや、メルよ。
さすがは兄妹。
どうやら卵と聞いて、最初に思い浮かぶのが『食べる』って発想なのは同じらしい。
とにかく僕は【白銀種の卵】をインベントリから取り出し、そっと炉の近くに置く。
「卵、焼く?」
「いや、メルよ。どうすれば孵化するのか、様子見よな」
「ジーっと見つめ続ける?」
「いや、メルよ。それはさすがに配信としては退屈なものになるのでは?」
「それはマズイ。おに……ルーンちゃん鍛冶する」
「よかろう」
:え、なにあの神々しく銀色に輝いてる卵
:でかくね!?
:金冠鳥の卵の5倍ぐらいはあるぞ!?
:直径40センチ前後か
:棒、巨乳、産卵……イイッ!
:やめろまじでw
メルのリスナーさんたちは謎の盛り上がりを見せていたけど、僕は僕でマイペースにあらかたの鉱物素材を【精錬】し終える。
そして最後に残った真っ白な石は明らかに貴重な素材だった。
「残りはたった一つしか採取できなかった【
この【
無理に挑戦して失っては元も子もないからね。
さて、インゴットを作れたらお次はいよいよ武具生成だ。
僕は金貨を消費して記憶を増加させ、鍛冶
————————————————————
金貨4010枚 → 2910枚
記憶10 → 11
〈鍛冶〉Lv1 → Lv2
【
[【
[必要工具:タイプ炉&タイプハンマー]
————————————————————
むーん。
炉とは別にハンマーが必要なのか。
ハンマーはあると言えばある。ゴチデスさんの店で、ウタさんやメルに買ってもらった例のでっかいハンマーだ。
ただ、装備条件の
しかしここで鍛冶を中断するのも、メルの顔に泥を塗ってしまう。だから僕はさらに金貨を消費してレベルアップを試みる。
————————————————————
キャラ名:ルーン
身分:幼女魔王
Lv :7 → 8
記憶:11
金貨:2910枚 → 2110枚
————————————————————
:ステータスポイントが10付与されました:
————————————————————
力 :7 → 11
防御:7 敏捷:13
————————————————————
よし。
これで【巨人の
インベントリから改めて取り出すと、巨人と名がつくだけあって僕の身体よりも大きかった。
そんな無骨すぎるハンマーをヌラっと背から取り出し、片手一本で構えてみる。
武器として振り回せばそれなりにリーチも長いというか……面での攻撃範囲が広くて有用そうだ。
「おに……ルーンちゃん、つよい」
:まじか
:いや、えっ? ステータス力いくつあるん!?
:武器&生産工具の【タイプ:
:あんなにちっちゃいのにおっきいのブンブンできるとかロマンしかない
:可愛いしかっこいいな
「では、鍛冶をはじめる」
炉の前に悠然と座り、僕はまず【月光呪の白石】を取り出し触れる。すると
:『月光呪の剣』……【月光呪の白石(インゴット)】×4:
:『
:『月光呪の
:月光ナイフ……【月光呪の白石(インゴット)】×2:
「【月光呪の白石】以外にも必要な素材があるのか……ん、【白石の伯爵】は精錬しなくてもそのまま素材として使用できると……ふーむ」
とりあえず今作れるものから始めるか。
僕は【巨人の
すると2つの【月光呪の白石★☆☆】は、縦に連結して四角柱になった。それからうっすらと光る線のようなものが現れ、それはナイフの形を
んん……謎だ。
あっ、こんなときはリスナーさんに聞くのがいいのかな!
「みなのもの、いかようにすればよいのだ?」
:質問の仕方がwwwwww雑すぎるww
:何つくるん?
:使うインゴット量を見た感じ小さい武器か?
「無論、ナイフよな」
:んんんー
:まずはインゴットを炉に入れて、火で硬さを調整する
:そんで叩いてナイフの形に整える
:最良の形を目指すんだルンちゃん!
:そういや金属を一度打つ毎に、ランダムで
:あ、それ俺も聞いた。
:なにそれこわw
:脱水症状とか過労死ってやつか?
:しばらく休めば、
:
:強制ログアウトさせられて、ペナルティで数時間はログインできなくなるらしい
:気絶みたいなもんかw
「ふむ。
その分、ぼくは命値13と信仰35もあるので運がよければ50回近くは打てる!
慎重に形を整えていくぞ!
「可愛いは慎重である……!」
まずインゴットを炉に入れ、そして取り出すと……赤い光色を帯びる。炉の温度は500度前後に調整しているけど、インゴット自体の柔らかさは定かではない。
となるとインゴットの発色具合のみで、どれほどの熱量があるのかを判断しなければならない。
これは扱うインゴットの特性を熟知してないとなかなか判断に困る。だけど、僕はこのインゴットを何度も【精錬】したから、だいたいの色味でどれほどの熱量を持っているのかわかった。
「この夕日の色に似た状態は……約300度前後の熱を帯びている。なかなかに柔らかい状態であるな。ならばここは慎重に……」
【巨人の
車のタイヤ4つ分ほどの巨大さを誇るハンマーが、インゴットに打ち付けられた。
ベキョリッッ!
「あっ……」
:インゴットが大きく基準線を超えました:
:【月光呪の白石】×2はロストしました:
「ええ……ぺちゃんこであるな……」
:ルンちゃんwwwww
:まさかの不器用説ww
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます