3話 れべるあっぷと黄金の祝福
【転生オンライン:パンドラ】で仮想金貨を稼いだなら使い道は主に三つ。
一つ目は現金化。
金貨1枚につき1円に換金できる。
かなりの高レートだけど、ほとんどの
なぜならもっと強いモンスターを倒せるようになった方が稼げるからだ。それにはやっぱり自キャラの強化が必須になってくる。
そこで仮想金貨の二つ目の使い道が、レベルアップと記憶ポイントの獲得だ。
まずはレベルアップだけど————
——————————
キャラ名:ルーン
身分:幼女魔王
金貨:360枚
Lv :3 (金貨40枚を捧げるとLv4にアップ)
記憶:5 (金貨60枚を捧げると記憶量が6にアップ)
力 :4
防御:5 敏捷:7
【スキル】
〈不殺の魔王Lv2〉
Lv1……『不殺の魔王』
永続:モンスターを倒しても金貨を得られない。ただし、キルした
Lv2……『転位の版図』
MP消費1:行ったことのある場所に転移できる
【
〈魔を統べる者Lv3〉……『契約・支配』状態でないLv30以下のモンスターに様々な命令が下せる。モンスターのLvに応じて消費する
——————————
そう、僕は身分だけはいっちょまえだけどレベルもステータスも強くない。
【転生オンライン:パンドラ】だってやり始めたばかりの初心者だ。
死にゲーでこの貧弱さは不安だらけだし、せっかく可愛い身分を引き当てたのだから、何が何でも死にたくない。
そんなわけで金貨を消費してレベルをアップしようと思う。
『金貨:360枚 → 320枚(金貨を40枚捧げました)』
『Lv3 → Lv4にアップ!』
『ステータスポイントを10獲得しました』
『
力 :4 → 5
防御:5 → 6 敏捷:7 → 9』
さっき【亡者】に助けてもらった時に
なのでまずは
次に重要なのは記憶量だ。
『金貨320枚 → 260枚(金貨を60枚捧げました)』
『記憶:5 → 6』
『スキルか
『
『【契約・支配】状態でないLv40以下のモンスターに命令を下せるようになりました』
なぜか三魔将は最初から命令を聞いてくれるけど、その他のモンスターはそうとは限らない。現時点での俺の生命線はモンスターに依存しているので、やっぱり【魔を統べる者】は優先的に強化するべきだと思う。
「残りの金貨は260枚とな……」
そして仮想金貨の三つ目の使い道はアイテムや装備の売買だ。
せっかく人間が営む【黄金領域】に来たのだから、少しぐらいは散財してみたい。
どんな物を取り扱っているのか気になるし。
:
:ただいま、新たな【黄金領域】の解放が確認されました:
そんなこんなで【剣闘市オールドナイン】を散策していると、ワールドアナウンスが流れ始めた。
:
:よって【金歌めぐる花街】が黄金領域として復活いたします:
:【身分:吟遊詩人】の全
おおー、新しい黄金領域か。
封印された神様? を解放すると出現するとかワクワクするな!
ぜひとも行ってみたい!
というかエクシスさんって
特に吟遊詩人の界隈では人気になりそうだ。
:隠された伝承を詠み解き、【守護者】を討伐すれば黄金領域の復活もございます:
:次にパンドラの箱を開けるのはあなたかもしれません:
:引き続き、『転生オンライン:パンドラ』をお楽しみください:
ちなみに魔物たちにとって、黄金領域が解放されたら困るというわけでもない。なんというか、広大な大海原に獲物が集まる小島ができたよね、ぐらいの認識だ。
ともあれ一地方に平和の兆しがもたらされたのは、喜ばしいことなのかもしれない。しかし光があれば闇もあるようで————
すぐ近くで物騒な悲鳴が上がった。
僕はとっさに身を隠しながら様子を見ていると、逃げ惑う男性が後ろからナイフを突き刺されていた。
「たすけっ、ぎゃああああ! せっかくLv5まで上げたのにいいい、転生したくないいい!」
「うんうん、永眠しちゃえば♪ 来世でキラっと輝けるかも♪」
うわあ……。
サイコパスそうな
数秒後には刺されていた
「はああー……みんな死なないかなあ……」
ナイフを握ったまま恍惚とした笑みでそんな独り言をつぶやく彼は絶対にヤバイ。
彼の頭上には『キラ』とキャラ名が表記されており、なんとなく関わらないようにしようと思う。あんなのに狙われたらめんどくさそうだ。
「あれ? あれれー? そこで誰か覗いてるねー?」
「ひっ」
木箱の影に隠れていた僕は容易く彼に見つかってしまった。
「そこのきみ、眠ってみる?」
眠る=永眠=殺される。
これを真っ向からノーと答えたらどんな展開になるかは、今しがた見せつけられたばかりなのでわかりきっていた。
周囲を見回してもモンスターの気配はないし、下手に敵対したらリスクが大きすぎる。
ここは穏便に立ち去る選択でいこう。
まずは柔らかな挨拶から。
「ほ、ほう……手柔らかに頼む」
うああああ、ここでも口調が偉そうになってしまううう。
せめて態度だけでも敵意はないとアピールするために、ペコリとお辞儀をすれば、彼はちょっとだけ驚いた表情になった。
「へえ……きみ、とっても可愛いね。俺はキラって言うんだけど、よろしく」
「よ、
あちゃー……どうしても尊大な名乗り方になってしまうのが恥ずかしい。
そしてこの時の僕は、彼との出会いがあんな奇跡を起こすだなんて夢にも思ってなかった。
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