第24話 先生を合格させるべきだ

「私がルード・オロカだ」


 長く赤い髪から、吊り上がった目が意地悪く光っている。

 昔と変わらず、陰気な雰囲気の男だ。

 俺は会場の中央に置かれた椅子に座る。

 ルードは壇上に立って、俺を見据えていた。


「では、口頭試問を始めよう。名前を名乗れ」


 くぐもった低い声で、ルードは言った。


「アラン・ベルフォートです」

「……アラン、だと?」


 ルードが少し上を向いた。何かを思い出しているようだ。

 俺は名前を正直に名乗った。

 やっぱり……バレちまったか?


「どこから来た?」

「ルナージュ孤児院から来ました」

「……へえ、そうか、そうか。その前は何をしていた?」


 ルードはニヤケ顔で、俺に聞く。


「冒険者です」

「なぜ冒険者をやめた?」

「それは……」

「言えないわけか。お前のようないかがしい男をマギステルにするわけにはいかない」


 ふふんっと、ルードは鼻で笑った。

 ルードの表情を見ると、どうやら俺に気づいているらしい。


「……わかりました」


「アランさん、あんたは不合格だ!」


 ルードがグランド・マギステルである以上、俺がマギステルになれることはない。


 俺が椅子から立ち上がると、


「アランさんは合格だ!」


 魔術師のギャラリーの中から、声が上がった。


「絶対合格だ! 彼なら魔王を倒せる!」

「アランさんを落とすのはおかしい!」

「そうだ! アランさんはマギア協会に必要だ!」


 俺を応援してくれる声が、どんどん聞こえてくる。


「先生は優秀な魔術師です! 落とすのはおかしいです!」

「合格させるのだ! 合格させるのだ!」


 エリシアもシルフィも声を上げてくれた。


「ふむ……グランド・マギステルよ。このアラン殿はだいぶ魔術師たちに尊敬されているようだが。無下に不合格にするのは良くないと思うが」


 立会人の席にいた国王が、怪訝な顔でルードに言う。

 会場の全員が、ルードを責め立てた。


「ぐっ……合格だ」

「俺が……合格した」


「やったー! 先生すごいです!」

「先生すごいのだ!」



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【★あとがき】


モチベになりますので、


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辺境の冴えないおっさん、大賢者となる。つぶれかけた孤児院の教師なのに、大出世したかつての孤児たちが俺にくっついて離れないのだが。 水間ノボル🐳@書籍化決定! @saikyojoker

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