第17話 マギステル認定試験part4

「戦闘力を試させてもらう。誰かアラン殿と手合わせしたい者はいるか?」


 試験官のじいさんが、ギャラリーの魔術師に問いかけた。

 皆、じいさんから目を逸らす。

 俺の尋常じゃない魔力量を見て、恐れをなしているのだろう。

 俺自身も信じられない魔力量だったしな。無理もない。


「ふむ……誰もいないのか。ならばアラン殿は合格——」

「待てい! この俺が相手になろう!」


 会場の重いドアが、バタンと開いた。

 漆黒のローブを纏った大男が、俺のそばに寄ってくる。

 不気味な雰囲気だ。


「ひゃははは! おっさん、お前が水晶玉に何か仕込んだことはわかってる。俺がお前をぶっ殺してやる」


 俺の顔に男の唾が飛んだ。

 いきなりいったいなんだ……?


「ノウキン様が相手かよ……」

「オッサン、死んだな」

「ヤバすぎる」


 この大男はノウキンという名前らしい。

 他の魔術師の様子を見ると、かなり強い奴みたいだ。

 スキンヘッドで、顔に呪文の刺青がある。

 右手の指全部に、ギラギラした銀の指輪をはめている。

 魔力を強化する魔道具だろう。


「ノウキン様は、オロカ様に次ぐ魔術師です。いつもなら戦闘の相手などしないのですが……」


 エリシアは心配そうに俺に言った。

 強気なエリシアが少し怖がっている。


「ははは! このオッサンがエリシアの師匠か! マギア協会に弱者は要らん! さっさと帰ったほうがいいぞ」


 妙に挑発的だ。

 これは何か裏があるかもしれない。

 いつもは出てくるはずのないナンバー2が俺の相手をする……何が起きてる?


「ノウキン様……お言葉ですが、アラン先生は優秀な魔術師です。絶対に負けません」


 エリシアはノウキンの圧にも負けず、気丈に言い返す。


「そうなのだ! 先生はハゲに負けないのだ!」

「は、ハゲだと……」

 

 会場の空気が凍りついた。 

 シルフィは言ってはいけないことを言ったらしい。

 ノウキンは自分の頭を撫でながら、ワナワナと震えていた。

 ヤバい。かなりキレている。


「……わかった。お前らの大事な大事な先生を叩き潰してくれるわ!」


 ノウキンは拳を振り上げて、襲いかかってきた。



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【★あとがき】


モチベになりますので、


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