第19話 おっさん、弟子に心配される
「先生、合格おめでとうございます! あたし、本当に嬉しくて……」
エリシアが泣きながら、俺の腕にすがりついた。
実技試験の後、俺たちはマギア協会を出た。
王都の中心街を三人で歩く。街は夕日に包まれ、美しい緋に家も店も人も染まってた。
久しぶりに強い奴と戦ったから、身体がバキバキに痛い。
それにしても……脳筋野郎との戦闘で見えた不思議な光景は、いったい何だったんだ?
俺の知らない場所が見えたが、どこか懐かしい感じがあった。
まるで他人の記憶が脳みそにダイレクトに流れ込んできたかのような……?
「でも先生、戦いの最中に目を閉じましたよね? もう生きることを諦めたのかと思いましたよ……」
ぷくっと頬を膨らませて、エリシアは俺の顔を覗き込んだ。
「そうだったか……? 自分では気づかなかったが」
「えー! 覚えてないんですか?」
「ああ」
「……勝ったからよかったですけど。あのままじゃ本当に危なかったんですよ。先生が死んじゃったら、あたしはもうどうしたらいいか……」
エリシアがひどく悲しげな顔をした。俺の服の袖をぎゅうと固く掴んで、身体が震えていた。
「そうなのだ! もし先生がいなくなったら、あたしも一緒に死ぬのだ!」
シルフィがさらっと恐ろしいことを言う。
「おいおい、何を言ってるだ。俺は二人の成長を見るのが何よりも嬉しい。それが見られなくなったら悲しいな」
「……もお! 先生は本当に『いい先生』ですね。そんなこと言われたらあたし、もっともっと頑張らないといけないじゃないですか!」
「あたしも……もっと頑張る。先生にあたしの強さ、もっと見てもらいたいから」
二人の目には、揺るぎない決意が宿っていた。
俺みたいなだだの田舎のオッサンの言葉に、王都の一流魔術師と、特級召喚士が感化されている……ちょっと俺には、プレッシャーかもしれない。
「二人はもう十分、頑張っているよ。少し肩の力を抜いたほうがいい」
「それは先生もですよ。今日は合格祝いに、おいしいものでも食べに行きましょう」
ニコっと笑いながら、俺に抱きつくエリシア。
「あ! エリシアお姉ちゃんずるい!」
シルフィが反対側から俺に抱きついた。
……今日は何度も、美少女二人からサンドイッチにされている。王都を歩く人々が俺たちをチラチラ見てる。
二人のさらさらした髪が、俺の鼻にかかった。ふわりといい匂いがする……おいおい、二人は俺の元教え子だ。変なこと考えちゃダメだ。
「あれ? 先生、顔が赤いですよ?」
「あたしのおっぱいが当たってるからかな?」
「バ、バカ! 二人とも離れなさい!」
「はーい! 先生、ごめんなさい!」
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第1章が完結しました!
読者の皆様のおかげです!
本当にありがとうございます…!
第2章は勇者へのざまぁがあります!
ぜひお楽しみに…!
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