ローレライの歌◆ノイルフェールの伝説～天空の聖女～外伝

人とは相容れない世界に住む人魚ナディア。
掟を破ってまで人命を助けた先に見出したものとは――――

運命に導かれるように好奇心に抗えずに人と関わってしまう人魚ナディア。
天真爛漫な彼女がその出会いによって目の当たりにする喜び、恐怖、悲しみ。

主人公ナディアが助けた少年を通してそれらを共有して初めて抱く得難い感情に目覚め、成長してゆく瞬間に立ち合う―――そんな小説としてのエッセンスがここに美しくしたためられています。

思い遣りに満ちた少女が深く傷付いた少年の力になりたいと真摯に願ったその想いが、彼女に確かな成長と恋を育み、未来への奇跡を結実させて行く…

そんな純粋さに浸れる冒険譚を求める…続きを読む

主人公は、人魚の女の子、ナディア。一人称は「ボク」。
山吹色の長い髪を、透き通る海になびかせ、金と白の尾ヒレで泳ぐ。
色の描写が綺麗で、物語全体も、格調高いハイファンタジーの雰囲気がたっぷりです。

この海には争いはない。
陸には、人間族がいて、争いがあるという。
ナディアは、見たことのない人間族に興味津々で……。

一万文字ですが、話の流れは難しくないので、最後まで一気読みがオススメですよ。

読者である私の目の周辺が瞼がふるえ熱くなり……。
おみごと、という一声をかけたくなった作品である。
神話のような熱量も感じつつ、しかし、実際にはやはり小説である。小説している、のである（組み立てが意識されている等……）。
興味深くて色々な読み方ができそうで、それでいて面白く読めるし、感動する作品。