概要
ところが後日、その青年が【呪いのバリスタ】と噂されていることを知る。なんでも、「見る人によって顔が違って見え、しかも思い出の人そっくりに見える」というのだ。
再び来店した愛佳には、噂のバリスタ・悠介の顔は誰にも似て見えなかった。噂はでたらめだ――そう思った矢先、店に現れた女性客が、祖父の若い頃そっくりに見える悠介にある依頼を持ちかける。
依頼に巻き込まれた愛佳は、不思議な現象に翻弄される悠介の苦悩を知り……。
誰かの代わりにしかなれないバリスタの青年と、ピアニスト志望の内気な少女が、互いにかけがえのない存在になるまでの物語。
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恋愛×人間ドラマ×ほんのりグルメ。文芸寄り、
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この先のブレンドとトッピング、アレンジは二人次第
音大に通って上京してきた愛佳。彼女はとある喫茶にやってきます。
呪いのバリスタと呼ばれる悠介は、人によって見る人が違うとかに見えてしまうとか。思い出のある人や思い入れのある人などに限定されます。しかし、愛佳は悠介の姿をありのままの彼の姿を捉えてました。
ほかの客には違った人に見えるのに、何故なのか。
珈琲の苦味とミルクの甘みが愛佳の視点で伝わってくる良作です。
読んでいると呪いのバリスタと呼ばれる所以が伝わってきますが、最後まで読むともっと身に染みるはず。
呪われているのは、本当はどちらのでしょう?
一読してみてはいかがでしょうか。 - ★★★ Excellent!!!「自分として見てもらえない」苦しさを、静かに掘り下げていく物語。
最初に【呪いのバリスタ】という言葉を見たとき、
正直、ホラーとかオカルト系の話かな、と思って読み始めました。
読んでいくうちに、これはそういう話じゃないな、とすぐ分かるんですが、
それでもこの文脈をあえて使っているのが、物語の掴みとしてすごく上手い。
不穏さがあるからこそ、喫茶店の日常や人の感情が、
逆に静かに浮かび上がってくる感じがしました。
個人的に一番刺さったのは、
「誰かの代わりとして見られてしまう」というテーマです。
悠介は、自分として見てもらえない。
それだけでもきついのに、
他人の記憶や感情まで背負わされてしまう。
ファンタジーの設定ではあるけれど、
読んでいて「現実でも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ほろっと苦くて温かいコーヒーのような恋物語
音大生・愛佳が訪れた喫茶店には、呪いのバリスタと呼ばれる――思い出の人そっくりに見える青年・悠介がいた。
愛佳や悠介、登場人物たちは人を想いやり、やさしく、みんな温かい人ばかりです。それでも、誰もが胸のうちにほろ苦い想いを抱えています。
人が生きていく上で抱えていかなければいけない苦み。けれど、一杯のコーヒーを通して、そっと心を温めて、同じ苦みを共有して、ゆっくり想いえお解きほぐしていく。静かで穏やかな心の交流が描かれていて、一つ一つの話が切なくもやさしくてどれも素敵でした。
また、物語のもう一つの主役であるコーヒー。
優秀バリスタである悠介が淹れるコーヒーは、どれも芳しい香りがこちらま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!珈琲のようにほろ苦くも温かな物語を味わう
その人の顔は記憶の中の誰かが投影される。
それ故に「呪いのバリスタ」と噂される喫茶店に偶然入ったのは音大生である愛佳でした。その時は呪いのことを知らずに珈琲を楽しむのですが、後に「呪いのバリスタ」と噂されていることを知ります。
愛佳には「呪いのバリスタ」と言われる悠介の方が他の誰かには見えないのです。
それ故に呪いに半ば信じ難い思いを抱きながらも愛佳は喫茶店を再び訪れます。そして、喫茶店を訪れる人は、悠介が別の誰かに見えることを愛佳は目の当たりにするのです。
それは過去の記憶。忘れられない記憶。懐かしい記憶や甘い記憶でもあれば苦い記憶でもある誰かの顔が悠介に投影されるのです。
ですが投影され…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そのカフェでは、あなたの〝過去〟が待っている。
内気な音大生の愛佳がとあるカフェで出会ったのは、美しい所作で珈琲を淹れてくれる素敵な年上青年。しかし彼はその穏やかさに似合わぬ、『呪いのバリスタ』なんていう名前で噂になっており──。
私たちの街にもひとつはありそうな雰囲気あるカフェを中心に繰り広げられる、すこしふしぎなヒューマンドラマです。主人公の目線で進行する物語はとても読みやすく、立ちのぼる珈琲の芳醇な香りまで目の前に広がるよう。
どこか影のある悠介の前に次々と現れる、とある想いを抱えた客たち。時に忌み嫌われながら、そして時に思わぬ誰かを救いながら、彼はその不思議な力と生きています。素朴で素直な愛佳が彼に寄り添うシーンはとても優しく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!未練ある相手の顔をしたバリスタの淹れる一杯に、どんな味わいを感じますか
ふらっと入ったカフェのバリスタが、別れた恋人に、亡くした息子に、あるいは密かに思いを寄せていた相手にそっくりだったら、あなたはどうしますか?
本作は、主人公である女子大生・愛佳が、『呪いのバリスタ』と呼ばれる青年・悠介と出会うところから幕を開けます。
『呪い』のせいで、見知らぬ誰かの未練に触れることの多い悠介。
それはカフェのお客さんに限らず、バリスタコンクールの審査員や、自身の家族関係にまで影を落としてきました。
誰かの代わりにばかりされてきた悠介ですが、愛佳は『呪い』にかからず、彼を彼自身として見つめます。
一つ一つの『呪い』のエピソードは、愛佳の存在を通すことで客観視され、柔らかに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しく柔らかく温かく、ちょっと苦さもある……そんなコーヒーみたいなお話
別れた恋人や先だった旦那さんなど、見る人にとって思い入れのある人物の顔に見えてしまうという不思議なバリスタ、悠介さん。
そのせいで様々なトラブルがあったり頼みごとをされたり(。>_<。)
誰かの『代わり』にされてしまう寂しさや虚しさを抱えていたと思います。
そんな悠介さんを『悠介さん』として見ることができる愛佳さん。
二人の恋が心配で応援したくて、見守るような気持ちで読みました。
悠介さんがバリスタとしてコーヒーを淹れる場面がとても素敵で印象的なのもこの作品の魅力のひとつ!読んでいて、ふわりとコーヒーの香りを感じるほどでした。
素敵な作品をありがとうございました!