主人公は、人魚の女の子、ナディア。一人称は「ボク」。山吹色の長い髪を、透き通る海になびかせ、金と白の尾ヒレで泳ぐ。色の描写が綺麗で、物語全体も、格調高いハイファンタジーの雰囲気がたっぷりです。この海には争いはない。陸には、人間族がいて、争いがあるという。ナディアは、見たことのない人間族に興味津々で……。一万文字ですが、話の流れは難しくないので、最後まで一気読みがオススメですよ。
読者である私の目の周辺が瞼がふるえ熱くなり……。おみごと、という一声をかけたくなった作品である。神話のような熱量も感じつつ、しかし、実際にはやはり小説である。小説している、のである(組み立てが意識されている等……)。興味深くて色々な読み方ができそうで、それでいて面白く読めるし、感動する作品。