江戸時代を舞台に、花坂藩のご世子、花坂弓削之介くんが恋に政治に奮闘する歴史ファンタジー物語です。「ファンタジー」とは言いながら、江戸城下の街並みや世相が非常に詳しく描かれていて、現在の神楽坂、日本橋など、有名な土地も多数出て来るのでとても面白く勉強になります!
国元の花坂藩から江戸に出て来た弓削之介。ご世子様として責任ある毎日が…と思いきや、彼の周りでは、事件が次々に勃発!何やらきな臭い陰謀めいた事件アリ、令和のニュースを思わせる事件アリ、で目が離せません。
そんな彼を江戸屋敷で迎えてくれるのは、未亡人で美しい義姉上様や、最強剣士の友人、一癖も二癖もある江戸家老などなど、頼もしい面々ばかり。国元にいる婚約者の駒姫ちゃんは元気いっぱいの可愛いお姫様で、遠距離恋愛となってしまったがゆえのじりじり感がたまりません!
正統派歴史ものっぽさもありながら、文体軽やかで読みやすい本作。歴史好きならずとも楽しめること間違いなし!の物語です。是非ご一読を。
ポンコツ?いえいえ、とんでもない!
弓削之介君は心美しく、遠い未来と夢を追う優しい若君。
亡くなった兄上のために花咲藩の「中継ぎの当主」となるのですが、将軍家に世子となり正室を娶る許可を戴くだけでも中々の一苦労。
そんな苦労がユーモアを混じえ、しかし緻密に描かれていきます。
国許には出会った途端相思相愛になってしまった?可愛らしい許婚の姫君が待っているのですが…
慣れない江戸での冒険。
庶民との触れあい。
その中でまた、弓削之助君は一つ一つ成長していきます。
そして彼は、一つの「夢」を実現するため、民、友、御家や家臣…を想いながらも前に進んでいくのです。
時に現代風パロディも顔を出しますが、元禄江戸「風味」の世の中の描写がとても丁寧。
キャラクター一人一人がとても魅力的なのですが、主人公弓削之助君が本当に愛おしい。
実は武芸も達者、頭の回転も早く、何より優しい若者です。
彼や周りの人々の夢を応援したくなる、そんな優しい「江戸」の物語です…!
主人公、花坂弓削之介さま。
彼は、部屋済みの次男坊でありました。しかも、藩主の息子の次男坊。
自由に好き勝手にやんちゃな次男坊がある日、海辺で握り飯を食べながら、長崎土産にブドウで造ったお酒に思いを馳せておりますと、なにやら、海で騒ぎが起きている様子。
次男坊とはいえ、お家を守る花坂藩の弓削之介様、舟を出して様子を見に行きます。
すると、どうも鴨川藩の賊らしき者たちが武家の船を襲っていました。
この時代、藩は、一つの国ですね。大変なことが起きていると、襲われている船を助けたのが、彼の運命を大きく変えていく事になります。
助けた船に乗っていたのは、元気なお姫さまでした。
作者様の筆力のおかげで、江戸時代の内容も細かく細部に描かれています。
弓削之介様とお姫様は今後どうなっていくのか。
ちょうど、自分は弓削之介様のお好きなお姫さまから、何やら不穏なお手紙をもらって、どうしよう……と青ざめる彼の場面までいきました。
素直に文を送ればいいのになあ、と思いつつ、そうはいかないですね。
じれったさもあり、江戸の美味しい物など遊びなど、現代とは違った日本についても学べます。
ぜひ、オススメいたします。
美味しいもの大好き、ぶらぶら遊ぶのも大好きなポンコツ若君が、ヒーヒー言いながらも頑張るストーリーにキュンとします。
主人公の弓削之介くん、自由をこよなく愛するあまり、「無用心に出歩かないでください」なんて怒られちゃったりしますw
けれども、彼の最大の魅力は、好きなもの・やりたいことに実直な研究者気質。
好奇心旺盛、かつ、ちょっぴり抜けた性格が、作中キャラからも読者からも「かわいい!」と映ります。
応援したくなる主人公です!
ヒロイン・駒姫との恋愛にドキドキするのはもちろん、領地を治めるうえでの政治的問題に直面したり、時事が絡んだトラブルに遭ったり……と、総合的なエンタメ作品としても読み応えバツグンです。
江戸時代風の「ファンタジー」ではあるものの、その文体や背景設定等がしっかりと考えられており、普通の時代物言われても気付かないくらいのクオリティの物語です。
また、作中で訪れた土地の地理や歴史等のことが丁寧に描写されており、実際に訪れたことがなくとも臨場感をもって他人に語ることができそうなほど耳学問が捗ります。
主人公弓削之介の活躍も注目すべき点で、ポンコツなせいかハラハラドキドキさせられることもありますが、本当に決めるべきときはしっかり決めてくれるので安心です。その勢いで恋愛もきっちり決めて、早く江戸でイチャイチャしているところが見たいです!
多くの方におすすめできる作品です。
弓削之介(ゆげのすけ)は、花坂藩の次男坊。
家を継ぐ予定もなく、継ぐ気もなく、本来なら、のん気な人生を歩むはずでした。
まだ日本では珍しい、ブドウ酒でも飲みながら。
ところが実は、そうもいかなくなってきていました。
望む望まないにかかわらず、彼の運命の風向きは変わってしまったみたいです。
お家騒動の予感が。
父親やその周囲から、だんだん外堀を埋められていく、弓削之介(ゆげのすけ)。
彼は、藩を背負って立つ覚悟を決められるでしょうか?
日本の江戸時代によく似た異世界を舞台にした「和風ファンタジー」。
各々がた、ぜひとも読んでいただきたく候。