図書室の罠

 皆さん、ご機嫌いかが? 女庭メオですわ。

前回の美男美女で目の保養になったはずですわ。その逞しい想像力に乾杯ですわ。


 と、いうわけで今回は『像』を考察しますわ。


【像】

 ダビデ像、ピエタ、サモトラケのニケなど、有名な彫像は数知れず。現代に残る芸術ですわ。 話は変わりますが、アニメのフィギアやプラモデルって凄いですわ。

 二次元を三次元で表現できる事が不思議ですわ。νガンダムのガンプラ欲しいですわ。


【虚像】

自分には、はっきり映って見えているが、他の人が同じ様に見ることができない像の事を言いますわ。

昔、科学で習った事がありますわ。

でも、幻想や妄想的なニュアンスで使われる事が多いですわね。虚像を追う時、盲信になりがちですわ。他人の意見を聞く事も大切ですわね。


【残像】

 貴様が見ていたものは……


 それでは皆さま、本編スタートですわ。



「アッシはぁ♪ ハオちゃんだよぅ♪ はにわだよ〜♬」

 あらあら、今日はとってもご機嫌ですね。

まあ、スキップしています! でも、なんだか変ですね? 手と脚が同時に前に出ています。流石はヒロイン! なんて高度なスキップなのでしょう! この可愛らしさは全人類が目に焼き付けるべきです!


 そんな、ぎこちないスキップで何処に向かっているのでしょうか?

「図書館に〜♪『縄文の縛られた愛』が、入荷したんだよぅ〜♪」

 まあ!リクエストしていた本が図書館に入ったのですね! 本のタイトルからして恋愛物みたいですね。いつも気丈なハオちゃんですが、心は少女なんですものね!


「歴史ミステリーだよ」

 渋いッ! 渋過ぎます! でも、それがハオちゃんの魅力といえます。

 そうこうしているうちに図書館に到着した模様です。引き続き、現場から中継を行います。


「あれ?予約していた本が……ないんだよ」

ハオちゃんは図書委員の男子生徒に話し掛けました。

 その時!

『おおOh!おおOh!……ハオYO! ヨクボウがチェケラッチョ!』

 埴輪の髪留めが、アゲアゲなテンションをぶちかまします!


『へっへっへっ! 魔砲少女め。僕の罠に引っかかったな! 入荷したなんて嘘さ。飛んで火に入る夏の虫とはこの事だ!』


 なんて事?! ハオちゃんはヨクボウの罠に引っ掛かってしまったのです!


「ビニール袋は風で飛ぶんだよ」

?! 飛んでビニールではありません!

飛んで火に入るです! コレはハオちゃんのギャクなのか、真剣に間違っているのかは読者の判断に委ねられました!


「ハオちゃん……変身だy………?!」

これはどうした事でしょう! 埴輪の髪留めにタッチする手前、ハオちゃんは両手でお腹を抱えて座り込んでしまいました。

「ヨクボウ…… 何をしたんだよ? お腹が痛いよ。便意が込み上げてくるよ……」


 いやぁ!女の子が便意なんて言ってはいけません! なんて卑劣なヨクボウ! 許せません!!


『へっへっへっ、魔砲少女。……知ってるか?『青木まりこ現象』ってやつを! 見事に罠に掛かったなぁ! ここが貴様の墓場になるのだ!』

 墓場ですって?! 便所の言い間違いです! いずれにしても極限状態のピンチに変わりはありません!

 ちなみに、『青木まりこ現象』とは、本屋で便意を催す現象を言い、実在します!

 本のインクが原因という一説がありますが、真相はまだ解明されていないのです!


「う、う、う◯こピーーーーが出そうだよ。卑怯なんだよ」

 やめてぇ!ハオちゃん!! ダイレクトに言わないで! 作品の品格が落ちちゃいますぅ!


『へっへっへっ、地に落ちたものだな魔砲少女。コイツでトドメだ!』

 そう言い、ヨクボウの図書委員が取り出したのは…… 食物繊維飲料でした!!


「くっ、ヤバいよヤバいよ! ハオちゃん打ち切りクライシスだよ! でも…… きっと、メオちゃんが…」



 –––– ハオちゃん回想シーン ––––


「え? 図書館へ行くんですの?」


「そうだよ。メオちゃんも一緒に行こうだよ」


「今回ばかりは遠慮しますわ。私、今日はピアノのレッスンですの」

 


 これは皆さんもお気付きですね?

『今回ばかりは遠慮しとくぜ』って言うキャラは、絶対助けに来るという法則です!


 ……あれ? メオちゃん? まだですか?

もう登場してもいいんですよ?

–––– ちょっと様子を見てきますね。


 (暫くお待ちください)


 ……ハオちゃん。悲報です。

メオちゃんは家でレクイエム『怒りの日』を演奏しています!! 助けは来ません!


『くっくっくっ、遂にヨクボウが勝利する時が来たのだ! 少し早いが祝杯でもあげようではないか』

 図書委員のヨクボウは、勝ちを確信しています。

 そして、『ヨクボウの勝利に乾杯』と、手にした食物繊維飲料を飲み干したのです。


 すると……

『な! 何をしたッ! 魔砲少女ぉ!』

なんと、図書委員のヨクボウもお腹を抱え、脂汗をかきはじめたのです!!


 –––– 見えた一縷の希望。

その隙にハオちゃんはトイレにダッシュを仕掛けていました。


『くっ!くそぅ!!魔砲少女めぇぇえええ!   ……… あ』

 ヨクボウの断末魔を背に、ハオちゃんはトイレに駆け込みました。

「悪•霊•退•散!」


 ハオちゃんは安寧の中で、ヨクボウにレクイエムを捧げました。


           –––– つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る