第2シーズンだよ

絶望の家庭科室

「やあ、アッシだよ。はにわハオちゃんだよ。 家庭科室から第2シーズンの開始をお届けするよ」


 やっぱり、カクヨムコンは読者選考で落ちましたね。わかっていましたが、残念です。応援頂いた皆様有難う御座いました!


 ハオちゃんが涙目でサムズアップ親指を立ててしているのは落選の悔しさか、それとも……


 なるほど!ハオちゃんの親指をてんとう虫が登っています。流石は本作ヒロイン! てんとう虫を親指の先からFly Highさせるつもりですね。一寸虫をもでるハオちゃn……

「go to ヘル!だよ」

 えっ?!ハオちゃんが親指をクイっと下に向けました。 てんとう虫は突然の重力変化に戸惑っています。

 ハオちゃん? これは小さき者への試練ですか? 愛のムチですか?

「カ◯ヨムコン、テメェはアッシを怒らせただよ」

 ただの八つ当たりですね。

完全無欠のヒロインなど存在しません。少し陰があるヒロインの方が、読者から愛されるという黄金比がフィックスした瞬間です。

 彼女の涙目は落選の悔しさではなく、心を鬼にせざるを得ない慈愛の雫なのでしょう。


「はにわハオさん?何をしているのですか?」

 おや?家庭科の先生がハオちゃんに熱い視線を送ります。今は家庭科の授業でカレー作りの真っ最中。各班のカレーには独自に隠し味を入れてもいいという、バトロワルールが適用されています。ハオちゃんは元気よく先生の問いに答えました。

「隠し味はてんとう虫だよ」


 いけません! 中坊厨房ですよ!に、昆虫食は前例がありません! 

 そんな危機的状況下で、隣の男子生徒が声を張り上げました。

『じゃあ、俺は芋虫を入れるぜ!』


 ……おい、貴様ら?ちゃんと残さず食べるんでしょうね? 食いもんを粗末にする奴は許しませんよ?! おほん、失礼。これはきっと……


『おおお……ハオよ。ヨクボウの気配がするぞぅ』

 やはり!ヨクボウの仕業でした!ハオちゃんの髪留めが今日もバリトンの声を響かせます。さぁ、ハオちゃん、頑張ってね!


「変人だよ」

……変身しなさい。

「変身だよ」


 ハオちゃんは髪留めにタッチ!さあ、皆様お待ちかねハオちゃん変身シーンです。

 6等身化した逆光シルエットからの…本日、身に付けるコスチュームは!!

 ああ、なんて可愛いフリフリなエプロン姿でしょう。裸ではありませんよ? 何を想像しているんですか? R指定していない真理が此処にあります。

 そして、とっても推定2メートル長い帽子が頭に鎮座しました。

 これは超コックさん帽子の長さが地位を表すとかですね。コックが強いという事例は学術的に常識となりつつあります。

さあ、ハオちゃん。惨事を食い止めるのです。

「料理してやるわだよ」

言い方が悪者ですね。ちょいワルなフレンチシェフ的ヒロインが爆誕です。


『くそぅ!芋虫を入れる邪魔をするんじゃネェ!』

 ヨクボウに取り憑かれた男子生徒は芋虫を鍋に投げ込みます! それに素早く反応するハオちゃん!

挽肉アッシ加護で守ってやるんだよジュ・ル・プロテージュ!」

 なんて芳醇なッ! ぬるっとした発音でフランス語を話すのでしょう! バイリンガルヒロインのハオちゃんに死角はありません!

 そうです。挽肉は『hachisアッシ』と発音するんですね。

 ……と、言う事は『やあ、挽肉アッシだよ』というハオちゃんの正体は……

 話を戻しましょう。煮え立つカレー鍋の表面に敷き詰められた生挽肉のバリアで、ハオちゃんは芋虫を守りました! 芋虫は感謝の気持ちをクニクニ全身で表現します。

 それは真っ赤な花畑の上で、身をくねらせる少女のように可憐です。

『くそぅ!小癪な真似するじゃネェか!』


「メルスィーだよ」

なんですって?! コックの性なのか、敵とはいえ『ご満足いただけましたか?』と、ハオちゃんはペコリと頭を下げます。美しき顧客至上主義の極みが体現されました。

 しかし、コック帽の真価がここで発揮される事となります。

 長い長いコック帽の先。ヘッドスピードは時速80マイルを超えました。

『ぶべらっ!!』

 途端にヨクボウに取り憑かれた男子生徒は地中深くに打ち込まれました。


「悪•霊•退・散!」

ハオちゃんは豪快にカレーを混ぜながら勝利宣言します。

 こうして今日も古墳中学校の平和は守られたのです。


 ……てんとう虫と芋虫どこ行った?ですって?

 ––– きっと、幸せな世界です。


           ––– つづく

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