誘惑のパソコン室

 皆さんご機嫌いかが? 女庭メオですわ。

流石はハオちゃん。『こーほー』がとってもブリリアントでしたわ。

 その輝きに皆さんも心奪われたはずですわ。

 と、いうわけで今日は、焼きを考察しますわ。


【焼き】

 鯵の一夜干しを七輪と備長炭で焼きますわ。

 コンロとは一線を画すふっくら仕上がりと、ほんのり炭の香り。これこそ至高の焼きですわ。


【焼き焼き】

 健康的に見える焼けた肌。実際はシミの原因になりますわ。日サロとガングロは絶滅危惧種となりましたわ。これも時代の流れですわ。


【炭】

 –––– 目をそらしてはなりません。

 今日も何処かでひっそりと捨てられているという現実から––––


 バーベキューの網の端に追いやられた肉だったもの。それはバーベキューが生み出した闇そのものですわ。皆さんも、闇を生み出さない様に気をつけるのですわ。


 それでは皆様、本編スタートですわ。



「やあ、アッシはハオちゃん。埴輪だよ。Excelの関数入力すると見せかけて、マインスイーパーに夢中だよ」


 流石はハオちゃん。パソコンの授業そっちのけで、論理的思考の真っ只中ですね? 更には先生の目を意識しながらとは、なんて高度な修行なのでしょう。

 これはきっと、新しい魔砲を手に入れる伏線ですね。 重要な事なので、もう一度言います! 伏線が張られました!!


「爆発したよ」

 あらまあ、一発目から爆弾を引き当てた様です。

 爆弾処理班も真っ青な手腕ですが、涼しい顔を貫くハオちゃんは、人に自慢をしない正統派ヒロインです。


「はにわハオさん? 何をしているのですか?」

 なんと、ハオちゃんの背後に忍び寄る先生の影が!

「先生もやってみるんだよ」

 なんという危機回避能力! 木を隠すは森の中、マインスイーパーを惜しげもなく晒しながら、ハオちゃんはマウスを先生に渡します!

「え?……ええ?」

 先生がフリーズしたのはハオちゃんの慈しみに感銘を受けてか、地雷生徒との邂逅によるものか、判断は皆様にお任せ致します。


 そんな中!

『おおお…… ハオよ。危険なヨクボウの気配がするぞぅ』

 急転直下、埴輪の髪留めがストーリーを進めます。暴走する物語は後退のネジを外している模様です。


『うへっ、うへへぇ…… 』

この男子生徒はッ?! 危険すぎます!

ヨクボウに憑依されたのでしょう。

 彼が見つめる画面に映し出されているもの…… それは!


『君にモフモフしたいよぅ。うへぇ、可愛い子猫ちゃん、僕を惑わせるなんて罪な子だねぇ♡』

 

 なんと! 学校のパソコンで『エキゾチックショートヘア鼻ぺちゃネコ』を、画像検索しているではありませんか! この罪深き男子生徒の表情は、ドロドロにとろけすぎてはたから見れば只の変態です!


「ハオちゃん、変身だよ」

さあ、ハオちゃん。彼を救ってください。

 このままではアダルトサイトを見ていると誤解を招いて、卒業まであだ名が『エロス』になってしまいます!


 さて、ハオちゃん本日のコスプレは……

「お注射しちゃうぞ♡だよ♡」

獣医さんですね! ああ、可愛いッ! こんな獣医さんなら、お注射されてみたいッ!


「……ドーピング、だよ」

 まああ! なんという事でしょう?!

ハオちゃんは注射器を自分の腕に注入しているではありませんか!

「ハオちゃん!第二形態、HERO英雄モード♪だよぉ!」

 ああ……。なんて立派なケツアゴでしょう! ハオちゃんはアメコミみたいな英雄っぽいキャラに超進化しました!


 –––– これが修行マインスイーパーの成果です!! 鮮やかな伏線回収は、コンビニの上げ底弁当のように物語に厚みを持たせます!!


『うへぇ! 魔砲少女めぇ。俺の野望を止められるかなぁ?』

 ヨクボウの男子生徒はニヤニヤしながら、マウスをポケットに隠しました。これではシャットダウンが困難です!!


 そんな苦境に英雄的ウォークで堂々と歩み寄るハオちゃんは、とっても英雄な感じです。

「HA!HA! HA☆NI☆WA! HEROハオちゃんVirus☆Buster!Da!Yo!」

 なんですって! 英雄なハオちゃんは男子生徒のパソコンモニターを持ち上げると、華麗にブレーンバスターを炸裂させました! 

 英雄的一撃がヨクボウの野望とモニターを打ち砕いたのです!


「悪☆霊☆退☆散!SMASHHHッ!!」

壊れたモニターを、燃えないゴミに分別しながら、ハオちゃんは勝利宣言をします。

 再生可能エネルギーを考慮するのは、いかにも英雄的でEU的ですね!

 こうして、今日も古墳中学校の平和は守られました。


「エキゾチックショートヘア…… アッシの可愛いさに匹敵する強敵だったよ」

 昨日の敵は今日の友。強敵と書いて友と呼ぶ少年誌みたく、必死にヒロインの座を死守するハオちゃんの苦悩は、これからも続きそうです。


           –––– つづく。

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