試練の代償
皆さんご機嫌いかが? 女庭メオですわ。
前回の私は、霹靂一閃の活躍でしたわ。
でも、タイトルは変わってませんわね。
これが『善処します』や『前向きに検討します』と、軽々しくいう大人の真実ですわ。
と、いうわけで今回は『大人』を考察しますわ。
【大人】
「この世界は、未来の子供達からの預かり物です。私利私欲に捉われず、我々は恥ずかしくない行動をしなければなりません」
とっても大人ですわ。痺れますわ。
【紳士淑女】
「お嬢さん、さあ、このハンケチで涙を拭きなさい」
「まあ、なんて紳士なのッ! このご恩は忘れませんわ。せめて、お名前を……」
「ははは、名乗るほど大した人間ではありませんよ。私は人の良心を育みたい。ただ、それだけです」
「まあ♡」
この寸劇は劇団二人がお送りしましたわ。
【見た目は大人】
「たった一つの真実にも辿り着けない! 見た目は大人!知能は子供!! 迷………」
こんな大人になってはいけませんわ。
これは今回の話の伏線ですわね。
それでは皆様、本編スタートですわ。
•
•
•
–––– その日、教室内は喧騒で溢れていました。
『俺、全然勉強してへんわぁ…… どないしよう?』
『えっ?! 俺も俺も!!』
そう呟く男子生徒たちの目元には、クッキリとクマができています。
そう、今日は試練の日。期末試験です。
テスト開始前から激しい心理戦は既に始まっていたのです。
「……はい、みんなが静かになるまで、82秒掛かりました」
非情なる先生の一言が場を支配する中、ハオちゃんはヒロインの定めを
「やあ、アッシだよ。ハオちゃんは期末テストを受けるよ。82秒は……1分と22秒だよ」
完璧な回答です!! これには先生もグゥの音もでません。
「はにわハオ?キサマ…まだ喋るのか?! ぐぬぬ…(…
おやおや? 怒りで力んでしまった先生は、プゥの音を放ちました。エマージェンシー、緊急換気を推奨します。
さて、テスト用紙も配り終えて試験開始です。ここで目にするのは『冷静を装う生徒』と、『臨戦体制で前傾姿勢』の二種属です。
ハオちゃんはどちらでしょう?
「くんくん、テスト用紙いい匂いがするんだよ」
–––– なんと!嗅いでます!!
そんなミステリアスな展開の中、埴輪の髪留めは潤沢な声を上げました。
『おおおお!ハオよ。ヨクボウの気配がするぞう』
そんな! テストの最中とはエゲツないヨクボウのようです。
しかし!いつものように『ぜぇ!』って騒ぎ立てる男子生徒は居ません。
これは…… ヨクボウの進化でしょうか?! まるでミステリーの犯人探し的展開の中、ハオちゃんは感覚を研ぎ澄ましました。
そして、気付いたのです。
「全身黒づくめの生徒がいるよ? 目と口しか描かれていないなんて、これは、作者の手抜きだよ」
……ハオちゃん、ちゃんとしましょう。
「奴が…… 犯人だよッ! その不審な動きは、間違いなくカンニングのヨクボウだよ!」
その声に、黒づくめの男子生徒は『ちッ!』と舌打ちをしてハオちゃんをガン見しました。
『流石は魔砲少女。だが、俺がカンニングした証拠はあるのかな?』
出ました!真犯人の常套手段です! ここまでセオリー通りだと逆に清々しくもあります。
「テストの平和は、アッシが守るよ! ハオちゃん、変身だよ!」
さあ、埴輪の髪留めにタッチしたハオちゃんを光が包み変身です! 今日は、どんな姿でしょう?!
♪♪〜(BGM)
チャ〜ラ〜ラ チャ〜ララ チャ〜ラララ〜♪♪
こんな表記で、何のテーマか分かるのは、
人類総重量4億tの中で10gに満たないでしょうが話を進めます。 黒づくめのヨクボウ生徒は焦った様子で、『何だ?!このBGMはッ!!』と、叫びました。
変身を終えたハオちゃんの姿は、黒いスーツに黒いシャツ。真っ黒コーデがオシャレ上級者をビビらせます!!
「え〜〜、貴方は証拠を残してるんだよぉ〜、んん〜、それはですねぇ〜……だよ」
なんと!名探偵…いや、名警部補が降臨しました!! 取ってつけた『だよ』が違和感を演出します!
危機を感じたヨクボウは、何やら手を擦り合わせています。どうやら、手のひらにカンニング内容を書いていたようです。 証拠隠滅を計った狡猾なヨクボウは、『さあ、証明したまえ』と、ハオちゃんを挑発します。しかし、ハオちゃんは動じる事なく社会的抹殺に取り掛かりました。
「ええ〜〜、実はですねぇ〜、そこじゃあないんですぅ〜〜 確たる証拠はですねぇ〜、答案用紙にあるんだよぉ」
『なん……だと?』
そう呟き、解答用紙に目を向けたヨクボウ生徒の顔色が豹変しました。
「そうなんだよぅ〜。カンニングする緊張感により手汗をかきますよねぇ〜、然るに、解答用紙には手に書いた文字が転写されるんだょぅ〜〜」
なんたる洞察力。もう止められないのは魔砲少女の快進撃か? テストの残り時間かは皆様の想像にお任せします。
『くッ!、俺は、まだ……』
無駄な足掻きをするヨクボウに、ハオちゃんは優しく語りかけました。
「貴方の点数は0点だよぅ〜♪ 悪•霊•退•散んん〜〜♪」
『ボールペンはぁぁ!!消えないぃぃ!!』
こうして、断末魔を上げたヨクボウは退治されました。
「テストの残り時間、、絶望的だよぅ〜〜」
魔砲少女は今日も、自分を犠牲にして平和を守ります。 その自己犠牲は誰にも知られる事はありませんし、返却されたテストの点数も親に知られてはいけません。
それでも、魔砲少女は歩みを止めずヨクボウに立ち向かっていくのです。
–––– つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます