体育会生命体

 皆さん、ご機嫌いかが?女庭メオですわ。

前回はハオちゃんの推理が冴え渡りましたわね。

 そんな中、私の出番が無いなんて許せませんわ。今回も出番が無ければ、作者を狩りに行きますわ。

 と、いうわけで今回は『カニ』を考察しますわ。


【カニ】

『越前ガニ』とは、福井県の漁港に水揚げされる雄のズワイガニのことですわ。 山陰地方では『松葉ガニ』、石川県では『加能ガニ』などとも呼ばれますわ。ですが、その正体は総じてズワイガニですわ。

 ブランド戦略の最先端ですわ。


【カニならざる者】

タラバガニは美味しいですわね。ですが、タラバガニはヤドカリの眷属ですわ。カニに似て非なる者ですが、美味しいから許しますわ。


【カニにあらず者】

カニカマですわ。庶民の味方であり、人類の叡智の結晶ですわ。 カニカニ話していると、カニが食べたくなってきましたわ。 今日のティータイムはカニカマと緑茶で決まりですわ。


 それでは皆さま、本編スタートですわ。



「やあ、アッシだよ。はにわハオちゃんは下校するよ」

 ああ、今日も勉強お疲れ様でした。

きっと下駄箱には、可憐なるヒロイン宛に多くのファンレターが届いている事でしょう。


「ちっ!」


 …… 何も無かったのですね?

邪推をして申し訳ありませんでした。


「おっ、運動部が元気に部活しているよ。青春なんだよ」

 ハオちゃんの視線の先、グラウンドでは野球部が汗を流しています。その光景に、部室のヤバすぎる臭さを思い出す読者様も多い事でしょう。

 そんなノスタルジーに浸る中でした! 大空に打撃音が響き、猛烈な勢いで野球の硬式ボールがハオちゃんに迫ります!


「ああっ!! 危ないッッ!」

野球部員の悲鳴がグラウンドに咲き乱れます。

 その声援の中、ハオちゃんは「この程度、動作もないよ」と、トリッキーなプレーでボールをキャッチしました。

 –––– 伝家の宝刀、背面キャッチ炸裂です!


「な…… 何者だ!奴は?!」

その様子に、野球部員達はざわつく気持ちを抑えきれない模様です。

 そんな中で、1人の部員がハオちゃんに駆け寄ってきました。

 ふふふ、ついに告白タイムですね!

物語のタグを『恋愛』に変更する時が来ました!


「スンマセンッシタッ!! 怪我はありませんッシタかッ?」

 …… 恋愛への道は遠い様です。ハオちゃんはボールを部員に投げて返すと、「アザッス!」と、野生の体育会言語が飛び出してきました。

 –––– しかし!


『おおお…… ハオよ。ヨクボウの気配がするぞう』

 なんて事でしょう。埴輪の髪留めが青春の1ページに割り込んできます!

 その野球部員は、ハオちゃんからボールを受け取ると言いました。

『くっくっくっ。魔砲少女よ、この至近距離でボールを投げれば避けれまい。貴様は俺に敗北し、この野球部に入ってもらう!そして共に甲子園を目指して貰うッ!!』


 部活への勧誘です!! ハオちゃんがピンチです! 彼女は魔砲少女。このままではMLBメジャーリーグを目指す事になってしまいます!


「ハオちゃん、変身だよッ!」

さあ!今日も元気よく押忍!と、行きましょう!

 今日、お召しになるユニフォームは……… 何ですって?!


 光の中から現れたのはドッジボール選手です!

「アッシは避けるのが得意だよ。小学校の時は『避けのハオ』という二つ名で通っていたんだよ」

 居ましたよね!やたらドッジボールで避けるのが上手い子! なるほど、これなら野球のボールも避けれます!!

『な、舐めるなぁ!!』

 ヨクボウの野球部員は、ボールを……

投げません?!

 これはッ! グラブ越しでボールをハオちゃんにタッチしました!!


「……タッチ、アウトされちまったよ。ドッジボールが負けちまったよ」

 そんなッ、魔砲少女がヨクボウに敗北するなんて?! まさかの敗北エンドになってしまうなんて! このままでは、今日が打ち切りっぽい最終回になってしまいます。


 そんな絶望の中、の声が背後から響きました。

「ハオちゃん!! 私達の戦いはこれからですわッ!!」

 メオちゃんが打ち切りのフラグを立てて登場しました! これは最終回確定です!!

(安心してください。続きますよ)


『メオちゃん、変身だね!』

また、首飾りがしゃしゃり出てきましたが、まあ、無視して物語を進めましょう!

『僕の扱い酷くないですか?』

 ––––それは 因果です。諦めましょう。


「メオ、変身ですわ!」

 さて、今日は読者の皆様に日頃の感謝を込めて、2人の変身を収録した豪華特別号です! 

 光とラメの輝きの中、メオちゃんが変身したのは……

「マネージャーですわ♡」

 –––– 野球部マネージャーです!!


 その甘酸っぱい青春のラブコメ要素が、ヨクボウにクリティカルヒットした様です。

 彼は『あ……あ、あ…愛してる』の言葉と共に、グラウンドに沈みました。


「悪•鬼•殲•滅!!」

メオちゃんは勝利を告げますが、その後、体育会系男子からマネージャーのスカウトが絶えなくなりました。


 こうして今日も、二人の魔砲少女は古墳中学校の平和を守ります。ハオちゃんは色んな意味で敗北を乗り越えて、更に強くなる事でしょう。

        

          –––– つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る