外国語教室の刺客

 皆さんご機嫌いかが? 女庭メオですわ。

前回はホットでポップな戦いでしたわね! それにしても…… 私の出番がありませんわ? 誠に遺憾ですわ! 

 と、いうわけで今日は蜜柑を考察しますわ。


【みかん】

 みんな大好き!蜜柑ですわ。

食べ過ぎて皮膚が黄色くなる現象を、『柑皮症かんぴしょう』と言いますわ。

 何事も程々がいいですわ。


【蜜柑】

 甘いはずの蜜柑が繰り広げる、辛辣な戦いがありますわ。

 『愛媛県vs和歌山県』

(某たけのこ、きのこ)

(某たぬき、きつね)

……的な争いは、今でも続いてますわ。

県のプライドを掛けた蜜柑バトルですわ。


【ある蜜柑】

アルミ缶の上にある蜜柑

ある蜜柑の上にアルミ缶



 それでは皆様、本編スタートですわ。



「やあ、アッシだよ。はにわハオちゃんだよ。今は英語の授業中だよ」

 それは遥かなる地平線を越え、まだ見ぬ友と出会うために…… ニューホライズンってわけですね!!


 最近では教科書の挿絵が萌え化しているのだとか……

 そんな恐ろしい時代の中で、ハオちゃんは英語の勉学に励んでいます。

「へろぉ、まい、なめぃず。ハオちゃんだよ!」

 とっても滑らかです! ハオちゃんの奏でる美しきアクセントは、イングリッシュとスタイリッシュの狭間で揺れ動きます!


『おおおお! ハオよ。厄介なヨクボウの気配がするぞぅ』

 おっと! 今日はヨクボウの出番が早いですね?

 何やら、スクエアタイプのメガネを中指でクイクイする男子生徒が、ハオちゃんの前に立ち塞がりました。


『今日から我が校の公用語は英語にします』


 コイツはヤベェ!!

 そのヤバさは、裸で天ぷらを揚げるくらい危険だとジムのトレーナーが言ってました!

 堪らずハオちゃんは異を唱えます。

「そんなの理不尽だよ!ご飯をライスって言うなんて酷いんだよ!」

 そんな切なる願いに、ヨクボウの男子生徒は冷ややかな視線を浴びせて来ます。


『つまり、そのアジェンダをフィックスさせるリードタイムをリスケする為にペンディングする訳だね』

 あ〜、腹立つぅ。

ハオちゃん、このウザい奴を葬って下さい。


「ハオちゃんトランスフォームだよ!」

ここに、バトルのコンセンサスが結ばれました!

 ハオちゃんを包む光はホーリーライト!

逆光はバックライト、シーチキンライトはカロリー半分という意味ではありません!!


 さて、今日のお召し物は……

「ハオちゃん、舞妓はんだよ!!」

 ああ! 日本を代表する芸者です!

テンプラ、スシ、フジヤマの加護を受けたハオちゃんが放つ、投扇興とうせんきょうの行き着く先は上級国民を唸らせる事でしょう!


「はんなりどすえぇ!」

ハオちゃんの上品な魔砲が放たれます!

 しかし!


『ヘイ、マジックキャノンガール。貴様は俺のトラップにゲッチューだぜ?』

 なんてことでしょう。惜しみない和製英語がハオちゃんの魔砲を打ち消しました。

 更に驚くべき事態が!!

「あ…アッシの変身が解除されちまったよ?」

 スーパーなピンチです!! ハオちゃんは連続して変身出来ません。 そんなややこしい設定がヒロインを苦しめます!


 その時!最も頼りになる人物の声が届きました!

「ハオちゃん、加勢しますわ!」

 そう、もう一人の魔砲少女メオちゃんです。

「変身ですわっ!」

 彼女は『ちょ、最近、僕の出番が…』と、言葉を発する赤い首飾りを握りしめ光を纏います。 その美しきシルエットの描く、変身後の姿は皆さんが歓喜することでしょう!


「チョーうざいんですけどぉ?ですわ」

–––– ギャルです!! 手の甲までニットのリブが被った、イケイケなギャルです!!


『なんだね?チミは? そのアサインのエビデンスは何なのかね?』

 いけすかないヨクボウの言葉に、メオちゃんは気怠そうに答えます。

「つぅかぁ、『その役割アサイン根拠エビデンスは何?』って言った方が楽じゃね?ですわ」


『……き、貴様!理解しているだと?!』

相手が悪かったようです。相手はメオちゃん。本作きっての頭脳派です! ヨクボウは不意を突かれて怯みました。 そこに、ハオちゃんも魔砲で追撃します!

「甘いんだよ!その考えがアサイン浅いんだよ!」

 ハオちゃん、使い方が間違っています。

はっ?! ドジっ子ヒロインを演出しているのですね! これには読者も萌える事でしょう!


『くそぅ、バカにしやがって!俺が負けるファクト事実なんて、あってはならないんだ!』


「何故なんだよ? なぜ、そこまでしてマウントを取りたがるんだよ? ビジネスは皆と協力する事が成功の秘訣なんだよ」

 ハオちゃんの声に、ヨクボウは冷ややかに答えます。

『馬鹿か、ビジネスとは弱肉強食。食うか食われるかの戦いなんだ。それが……仲間でも』


「それって、本心じゃないんじゃね?ですわ。 私がその呪縛を解いてあげますわ。魔砲!『ビジネスライク事務的関係より、ライク好きの方がいいんじゃね?』ですわ!!」


『本当は…… 俺も、みんなと仲良くしてえぇえええ!!』

 こうして、ヨクボウはメオちゃんによって浄化されました。

「悪•鬼•殲•滅!」

 メオちゃんは寂しげに勝利宣言した後、呟きます。

「ヨクボウは、人の関係に歪みをもたらしますわ。早く、その根源を断たないといけないですわね。……確か、首飾りが『カンジョウ』と言ってたかしら?」

 その言葉にハオちゃんは深く頷きました。

「アッシも頑張るよ! カンジョウ?何ソレ?だよ」

 ハオちゃんはヒロインなのに蚊帳の外でしたね。ナレッジ知識、情報の共有がなされた事で、物語は最終局面に突入することでしょう。


 こうして、今日も魔砲少女たちは古墳中学校の平和を守りました。



 『…… さて、頃合いでしょうか。』



           –––– つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る