第27話 山頂から飛び立つ時
主人公=泣き虫ドラゴン
(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)
キリマ山の頂きで、大きく深呼吸する泣き虫ドラゴン。
「う~ん」
背伸びをすると、背中が空に触れているようで、とても気持ちが良くなります。
太陽の輝きが、泣き虫ドラゴンの心をくすぐります。
すると突然、ジョルディールの心が、ポワンと宙に浮かび上がりました。
オレンジ色に輝く球(たま)。
これは、たましいと呼んだ方が良いのかもしれませんね。
オレンジ色の球は、すぐに小鳥の姿に変わり、空に向けて飛び立ちました。
泣き虫ドラゴンが、歯と歯の間を吹き抜けていく風の音を聞いているわずかな時間に、小鳥は、山を降りて、泣き虫ドラゴンの住む沼を探してきてくれました。
「なんて便利なんだろう!」
ようやく気がついたようです。
キリマの試練を乗り越えたことで、泣き虫ドラゴンは、タマシイを自在に飛ばして、
遠くの場所へ行ったり、遠くのものを見たりすることができるようになっていたのです。
住む沼が見つかってホッとした泣き虫ドラゴンの頭に、ふと、
あのもじゃもじゃなタテガミをしたライオンさんの顔が浮かびました。
「ライオンさんは、いまごろ何をしているかなあ」
無意識に泣き虫ドラゴンは、ライオンさんが住むサバンナの方角へ、
【タマシイの小鳥】を飛ばしていました。
サバンナのあちこちを飛んでいるうちに、ついにライオンさんを見つけることができました。
驚いたことにライオンさんは、バオバブの木の下で、傷つき、動けなくなっていました。
どうやら、強いオスライオンと戦って、負けてしまったようです。
泣き虫ドラゴンは、いてもたってもいられなくなりました。
傷ついたライオンさんをそのままにしておけば、きっと死んでしまうでしょう。
泣き虫ドラゴンは、急いで、山頂から飛び立ちました。
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