第12話 空の響(ひびき)


主人公=泣き虫ドラゴン

(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)




「泣いているのですか? 何がそんなに、悲しいのですか? 」


泣き虫ドラゴンは、うわずった声で、そう聞きました。


「悲しんでいるのではないのです。喜んでいるのです。」


呼び鳴き鳥が、そう言った時、

瑠璃色の羽根がみるみるうちに赤色に変わりました。


「この赤い羽根が、本当の私の羽根だったのです。

今まで森の精キリマに呪文をかけられていました。

でも、それには訳があったのです。わたしの羽根は、感情が高ぶると、勝手に火が出て、燃え上がるのです。火が出てしまったら最後、コントロールができません。

わたし以外の何かに、火を移さなければ、消えない火なのです。


仕方なく、キリマはわたしに呪文をかけました。『呼び鳴きの呪文』です。

森の精霊たちの力を集めて、森に住んでいるあらゆる鳥たちの鳴き声やさえずりの中から、空の響(エネルギー)を呼び寄せ、わたしの中に封じ込めたのです。

それ以来、わたしの羽根は空の響(エネルギー)に満ちて、燃えなくなりました。

瑠璃色に変わった羽根は、自由自在に羽根を濡らすことができたからです。


そして、呼び泣きの呪文を解く方法が一つだけありました。

森のあらゆる鳥たちの鳴き声やさえずりよりも響く声を、わたしの羽根に聞かせることでした。呪文が解ける時、わたしの羽根は本当の意味で、完成します。

自分の意志で自由に火を燃やしたり、雨を降らせて火を消したりできるようになるのです。」



そこまで一気に話し終えると、

呼び鳴き鳥は、目をらんらんと輝かせて、泣き虫ドラゴンを見ました。

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