第4話 隣の沼のドラゴンがやってきた


主人公=泣き虫ドラゴン

(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)




ある満月の夜のこと、

隣の沼に住んでいるドラゴンがやってきました。


姿かっこうは、泣き虫ドラゴンそっくりです。


「やあ、泣き虫ドラゴン。いい月夜だね。

僕たちドラゴンにとって、最高じゃないか。体を動かしたくて、ウズウズするよ」


「やあ、隣の沼のドラゴンさん。ご機嫌よう。本当にいい月夜だね。

ワクワクするなあ。今夜は友達が遊びに来るんだ」


「君は、本当に友達が多いな。今夜は誰が来るんだい?」


「カバさんとライオンさんだよ」


「ほほう。それは楽しそうだね」


と言った隣の沼のドラゴンの目がキラリと光りました。


「ところで、君は聞いていなかったのかなあ。ライオンに赤ちゃんが生まれたそうだよ。それで今夜はお祝いのパーティーがあるんだ」


「えっ。それは知らなかったなあ。ほんとう?」


泣き虫ドラゴンは、目を丸くしました。


「ああ、本当さ。ライオンのヤツ、君をビックリさせたかったのさ。

実は、僕から君に伝えてくれって、頼まれたんだ。サバンナの西のはずれのバオバブの木の下でやっているそうだよ。君も早く行かなくちゃ」


「なんだ、そうだったのかぁ。ありがとう、隣の沼のドラゴンさん。

それなら僕のほうから行かなくちゃ」


泣き虫ドラゴンはそう言うと、沼から這い出して、西へ向かって、飛んで行きました。


泣き虫ドラゴンが小さくなって見えなくなると、隣の沼のドラゴンは、

泣き虫ドラゴンが暮らしている沼に入っていき、泳ぎはじめました。


しばらくすると、カバがやって来ました。


「やあ、泣き虫ドラゴン。遊びに来たよ」


「やあ、カバさん。会いに来てくれて、ありがとう。今日は本当に水遊びに持ってこいの日だね。その前に、君の歯を磨いてあげよう。僕のシッポは、君の歯を磨くのに便利だから」


「ありがとう、泣き虫ドラゴン。それなら久しぶりにやってもらおうか」


カバは沼のほうを向いて、大きな口を開けました。


それを見ると、沼からゆっくり這い出してきたドラゴンが、

くるりと後ろを向いて、シッポをカバの大きな口に近づけました。


そして、カバがあっと気がついた時には、もう遅かったのです。

ドラゴンのとんがったシッポが槍のように、カバの口をつらぬきました。

カバは、ガバガバガバと、大きな鼻息を鳴らし、一声、


「泣き虫…ドラゴン…」


とつぶやくと、倒れてしまいました。

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