第3話 ライオンさんがやってきた
主人公=泣き虫ドラゴン
(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)
カバは、大きな口を開けました。
泣き虫ドラゴンは、器用に、とがったシッポの先を動かして、
カバの歯についた緑の藻(も)を、取りのぞきました。
それからというもの、カバは泣き虫ドラゴンの友達になりました。
今度は三日月の夜のこと、沼の岸辺で二つの目がキラリと光りました。
「泣き虫ドラゴン。またそんな声をだしておるのか?」
もじゃもじゃなたてがみをした、大きなライオンが、ぬっと現れました。
「やあ、ライオンさん。ご機嫌いかがですか?」
「ご機嫌か? すこぶるナナメだ。いや、それ以上の逆さナナメだ」
「どうしたんです?」
沼の中で泳いでいた泣き虫ドラゴンが心配になって、岸に上がって来ました。
「ワシのたてがみが、この間のつむじ風に巻かれて、もじゃもじゃになってしまったのだ。おかげで、みんなの笑いものだ」
「ハハァン、分かりました。ちょっとこの沼の水で、たてがみを濡らしてごらんなさい。そのあと僕の歯で、たてがみをとかしてあげましょう」
「そんなことを言いおって。実はワシを食べる気だろう。
たてがみをとかすフリをしたドラゴンに食われたライオンは、数えきれぬわ」
「けっして、そんなことはありません。この声に誓って」
「ジョルディール。ジョルディール」
泣き虫ドラゴンの鳴いている声を聞くと、
不思議なことに、ライオンは信じてみようという気持ちになりました。
さっそく沼に入ってたてがみを濡らすと、
岸辺で待っている泣き虫ドラゴンの前に来て、座り込みました。
「さあ、やってくれ」
ジョルディールは、大きな口を開けて、ライオンのたてがみを噛みながら、
上から下へと、とかしていきました。
やがて、ライオンのたてがみは、ふさふさした立派なたてがみに戻りました。
それからというもの、ライオンは泣き虫ドラゴンの友達になりました。
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