第9話 創造の実
主人公=泣き虫ドラゴン
(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)
「もしもし、わたしの上にのっているあなたは、誰ですか?
重たいので、どいてくれませんか」
泣き虫ドラゴンは、お腹の上でマブシイほど輝いているチーターに、
そう言いました。
「ハッハ。ようやく気がついたか、泣き虫ドラゴン。ワシに会いたかったのだろう ? 」
光るチーターは、シッポの先をヒュンと泣き虫ドラゴンのアゴの前に持っていき、
チラつかせました。
「あなたが、森の精キリマさん?」
「皆はそう読んでおるが、なあに、ただのオロカモノじゃよ。
泣き虫ドラゴン、ワシに何が聞きたい?」
光るチーターは、そう言うと、ようやく、泣き虫ドラゴンのお腹の上から地面へ、
ひょいと降り立ちました。
やっと自由になった泣き虫ドラゴンは、体をクルリと回転させて、
いつもの姿勢に戻りました。
転がったり、ひっくり返ったりを繰り返していたせいか、
起きあがって見るいつもの世界が、とても素敵に思えました。
「わたしが暮らせる沼をさがしているのです。あなたがご存じだと聞いて、探していました」
「ワシをさがしていただと? それは思いちがいもいいところだ。
お前がワシを引き寄せたのだ。あの猿たちも、レモンの木も、レモンのすっぱい味も、みんなお前が創造した。そうして、ワシのところまで、お前が勝手に転がってきたのだ」
泣き虫ドラゴンは、森に入ってからここまでの道のりをふと、思い返してみました。
イバラの道とまではいきませんが、泣き虫ドラゴンにとって、
初めての冒険であったことには、間違いありません。
「かがやくレモンの実、あれは創造の実だよ。
食べたものは、自由に好きなことを創造できるんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます