第9話 創造の実


主人公=泣き虫ドラゴン

(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)



「もしもし、わたしの上にのっているあなたは、誰ですか? 

重たいので、どいてくれませんか」


泣き虫ドラゴンは、お腹の上でマブシイほど輝いているチーターに、

そう言いました。


「ハッハ。ようやく気がついたか、泣き虫ドラゴン。ワシに会いたかったのだろう ? 」


光るチーターは、シッポの先をヒュンと泣き虫ドラゴンのアゴの前に持っていき、

チラつかせました。


「あなたが、森の精キリマさん?」


「皆はそう読んでおるが、なあに、ただのオロカモノじゃよ。

泣き虫ドラゴン、ワシに何が聞きたい?」


光るチーターは、そう言うと、ようやく、泣き虫ドラゴンのお腹の上から地面へ、

ひょいと降り立ちました。


やっと自由になった泣き虫ドラゴンは、体をクルリと回転させて、

いつもの姿勢に戻りました。


転がったり、ひっくり返ったりを繰り返していたせいか、

起きあがって見るいつもの世界が、とても素敵に思えました。


「わたしが暮らせる沼をさがしているのです。あなたがご存じだと聞いて、探していました」


「ワシをさがしていただと? それは思いちがいもいいところだ。

お前がワシを引き寄せたのだ。あの猿たちも、レモンの木も、レモンのすっぱい味も、みんなお前が創造した。そうして、ワシのところまで、お前が勝手に転がってきたのだ」


泣き虫ドラゴンは、森に入ってからここまでの道のりをふと、思い返してみました。

イバラの道とまではいきませんが、泣き虫ドラゴンにとって、

初めての冒険であったことには、間違いありません。


「かがやくレモンの実、あれは創造の実だよ。

食べたものは、自由に好きなことを創造できるんだ」




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