第8話 金色に光り輝くチーター
主人公=泣き虫ドラゴン
(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)
猿たちにそう言われると、泣き虫ドラゴンも、
森の精キリマに会って見たくなりました。
「どうやったら、会えるの?」
「なあに簡単さ。この森の奥深くにあるキリマの山に向かって、
まっすぐすすむだけ。そのうちにキリマの方から姿を現すさ」
猿たちは、そう言って枝を揺らしたかと思うと、
いつの間にかいなくなっていました。
泣き虫ドラゴンは、更に森の奥へずんずん進みました。
すると、だんだんと背の高い草むらがまばらになってきて、
見通しが良くなってきました。
前が急に明るくなり、泣き虫ドラゴンは、思わず、目をつぶりました。
気がつくと、泣き虫ドラゴンは、
大きなレモンの木の幹に、鼻をくっつけていました。
泣き虫ドラゴンが、こんな大きなレモンの木を見たのは、初めてでした。
見上げると、レモンの実が、たわわになって、枝をしならせています。
そして、不思議なことにレモンの実一つ一つが、光り輝いていました。
その輝きを見ていると、何だか急にお腹がすいてきました。
泣き虫ドラゴンは、レモンの木の幹に前足をかけ、背伸びをして大きな口を開けました。
パクリ、パクパク。
泣き虫ドラゴンは、レモンを一個食べたと思ったら、
あまりのすっぱさに、悲鳴をあげました。
「ジョルディ~ル!」
泣き虫ドラゴンは、地面にもんどりをうつと、東の方角へ、転がり出しました。
あまりのすっぱさに、泣き虫ドラゴンの硬い体に鳥肌が立ちました。
泣き虫ドラゴンは、転がり続けました。どこまでも、どこまでも。
そして、とうとう泣き虫ドラゴンは、キリマの山の麓(ふもと)にたどり着き、
なだらかな登り坂の途中で、目をまわして、ひっくり返りました。
泣き虫ドラゴンが、気がついた時は、もう夜でした。
月明かりが、うっそうと繁る森の天井のすき間から、差し込んで来て、
木々の葉っぱを、そして、泣き虫ドラゴンを明るく照らします。
泣き虫ドラゴンは、起き上がろうとしましたが、なかなか起き上がれませんでした。
どうしてしまったのでしょう?
みると、泣き虫ドラゴンのお腹の上に、誰かが乗っているではありませんか。
首を起こして見てみると、金色に光り輝くチーターが、
お腹の上に座って、シッポを振っています。
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