第23話 沼までたどり着いたイキサツ
主人公=泣き虫ドラゴン
(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)
泣虫ドラゴンは、気力をふりしぼって、何とか動く手足を動かしました。
もう泣虫ドラゴンの頭の中には、考える力が残っていませんでした。
だんだんと、動きが止まり、開いていた目が、静かに閉ざされました。……
気がつくと、泣虫ドラゴンは、森の中の沼で、悠々と泳いでいました。
良く晴れた気持ちのよい朝でした。
友達のカバさんとライオンさんが遊びに来てくれました。
泣虫ドラゴンは、さっそく、カバさんの大きな歯をシッポの先で丹念に掃除してあげました。その後、ライオンさんのもじゃもじゃのタテガミを、自慢の歯で、といであげました。
それから泣虫ドラゴンは、カバさんとライオンさんと夜明けまで語り明かしました。
カバさんは、河の中で知り合った白イルカや、カバさんのお腹の中に住んでいるというパクリウオという、ぶよぶよで骨のない魚のコトを話してくれました。
ライオンさんは、メスライオンとの初恋の話や、今まで十頭のオスライオンと戦って、一度も負けなかったことを話してくれました。
最後に泣虫ドラゴンが、この沼までたどり着いたイキサツを話しはじめました。
空には大きな満月が浮かんで、星の瞬きが、夜空を埋め尽くしていました。
泣虫ドラゴンは、長い間話していましたが、不意に途中で、言葉をつまらせてしまいました。そうです。キリマ山の頂上にたどり着いて、必死に待っている者を探し始めてからのことです。
「ええっと、なんだっけ……その後ボクは……?」
泣虫ドラゴンが考えこんでいたその時です。
目の前の景色が大きく揺れてかたむいたような気がしました。
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