第24話 再会
主人公=泣き虫ドラゴン
(アフリカで生まれて、サバンナで暮らす若いドラゴン)
「 わぁん だぁっ
ハァッ!
ワン ダア ブラ
バン バン バン 」
泣虫ドラゴンの耳に、どこからか、力強いリズムが聞こえてきました。
「 ワン ダア ブラ
ダン ダン ダン! 」
この地を揺るがすような響き。
泣虫ドラゴンの体が自然にリズムを感じ、ハッと我に返りました。
その時です。空から鳥の鳴き声が聞こえました。
ギワッというけたたましい声と共に、
ダチョウほどもある奇怪な鳥が、翼を赤々と燃やして空を舞い、
泣虫ドラゴンの頭の上をぐるぐると旋回(まわ)り始めました。
痛いほどの氷のつぶてを顔面(かお)に受けながら、
泣虫ドラゴンは、目を覚ましました。
「……ああッ、ゴリラの先生、おこしてくれてありがとう。
呼び鳴き鳥さん、助けてくれて、ありがとう」
そう言うと、泣虫ドラゴンは、一歩ずつ、前に進みはじめました。
呼び鳴き鳥の翼の炎のおかげで、氷ついた手足が溶けだしたのです。
炎の明るさで視界も広がりました。
泣虫ドラゴンは、進んでいくうちに、ふと、前の方に、
誰かがたたずんでいるのを、目にしました。
もう迷いませんでした。
泣虫ドラゴンは、ゆっくりと近づいて行きました。
ズンズン。
ズンズンヒタ、ズン。
ズンズンズンズンズンヒタ、ズンズン。
泣虫ドラゴンは、目の前まで来ると、驚いて、目を丸くしました。
そこにいたのは、あの精霊のキリマだったのです。
この間泣虫ドラゴンが出会った時に目にした、
神々しいほどに光輝くチーターの姿は、どこにも、見あたりませんでした。
変わりにそこにいたのは、
ただ、震えて、泣きながら途方にくれたであろう、
氷ついた一匹のチーターの姿でした。
「キリマ……本当に、君なんだね」
泣虫ドラゴンは、約束を果たすため、ゆっくりと背筋を伸ばして、
歯をカチカチとならし、アゴの運動をしました。
そして、最後に大きく深呼吸を一つ。
どうやら、歌う準備が、整ったようです。
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