第7話

翌朝、ロビーでチェックアウトをしていると

その横を藤本有一が友達と一緒に通った。

もう一泊するのか、海に向かって歩いて行く。

私に気付いたはずなのにシカトした。

と思った時、振り向いて親指を立てニッコリ。

彼氏と一緒だったから、素知らぬふりを

したみたいだ。

ますます気になって仕方ないじゃんか。

「さ、行こうか」

と健ちゃんに言われ、我に帰った。

ヤバイヤバイ。

私はこの人と旅行に来てる彼女だった。

「うん。水族館、楽しみだね」

と、ニッコリ笑ってみた。

油壺マリンパークで楽しんだ後

また大渋滞の中、帰路に着いた。

私は助手席に座るとすぐ寝てしまうという

特技を持っている。

行きは頑張って起きていた。

しかし帰りは、ほぼほぼ寝てしまった。

途中のPAに寄った以外は寝てた気がする。

でも健ちゃんは怒らない。

怒らないどころか

「寝てると、信頼されてる気がするから嬉しいよ」 だって。

何ていい人だ。

こんな事を言う彼氏は初めてだ。

大抵は、少し不機嫌になったりしたもんだ。

1週間の夏休み、もう1日だけ会って映画を

見に行った。

そんなデートの最中でも

LINEチェックをする為に

チラチラとスマホを覗いてる自分がいた。

何を期待してるのか‥

自分からは連絡しないと心に決めていたが

気になって仕方なかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る