第23話

結局、返事はしない事にした。

健ちゃんがどう思っていようと

私的には別れたのだから、何処で何をしてても

関係ないはずだ。

有ちゃんには、何となく言えなかった。

自分の方の問題も抱えていて大変だから。

3時間後くらいにまたLINEが鳴ったが

今度は見もしなかった。

次の日会社で会ったが、LINEの件は一切触れて来なかったので、むしろ少し不気味だ。

鍵交換の日までは、元カノが侵入した形跡は

なかったらしく、一安心した。

聞くつもりはなかったが、つい別れた原因を

聞いてしまった。

元カノは、かなりの潔癖症で病気じゃないかと

疑うくらいだったとか。

最初は自分の周りだけに執着してが

次第に有ちゃんにも色々と指導するように

なって来て、息が詰まりそうだったらしい。

潔癖症とかけ離れてる私はホッとした。

鍵交換をした2週間後の日曜・夜

9時頃にドアをガンガン叩く音がした。

私達は、咄嗟に顔を見合わせていた。

まさか!

女性の大きな泣き声がする。

「有一。いるんでしょ! 開けてよ!」

「何でドア開かないの!」

震えた声で叫んでる。

もう、恐怖でしかない。

「有ちゃん、どうするの?」

と私も声が震えてしまっていた。

怖い形相の彼は

「いい加減にしてくれ!」

「もうお前とは別れたんだから!」

「2度と来るな!」

外では激しい泣き声が。

「あんなに愛してるって言ってたじゃない!」

「何回も愛し合ったじゃない!」

「全部、遊びだったの?」

大きなため息をついた有ちゃんは私に

「ごめんね。聞きたくない事、聞かせて」

と苦笑いをした。

最初は恐怖を感じていた彼女に、哀れみと

怒りが湧いて来ている自分がいた。







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