第24話

30分以上のドア越しのやり取り。

元カノは諦めたのか、ドアを10回程叩いた後

去って行った。

たぶん隣近所の住民にも聞こえていただろう。

「もう諦めたかな‥」

と呟く私を抱きしめて

「ちゃんと別れられなくて、ごめんな」

と優しく言ってくれた。

私も健ちゃんと上手に別れられてない。

同じ職場にいる限り難しい。

この事を言おうか迷ったがやめた。

「恵理ちゃんの方は大丈夫?」

悟られたのか、顔に出てしまっていたのか

聞かれてしまった。

「う〜ん。たぶん大丈夫」

心配させたくなかった。

会社では相変わらず監視されてるような

状況だったが、もう気にしない事にした。

LINEもブロックしてしまった。

まあまあ平穏な日々を過ごしていた私達に

次の試練が訪れた。

有ちゃんの元カノの友人から一本のLINEが。

恋人同士になる前はグループで遊んでいたので

友人達ともLINE交換していたらしい。

《麗子が自殺。未遂に終わったけど》 

有ちゃんは頭を抱えていた。

「俺、どうしたらいいんだ‥‥」

私はただ黙って隣に座っているしかなかった。

これほど思い詰めてるなんて、

死ぬ覚悟をする程。

別れたとはいえ、有ちゃんも愛してたはず。

動揺しないわけがない。

2人とも黙ったままの時間が何分か過ぎ

「ごめんね。今日はもう送って行くね」

まだ午後の3時だったが、素直に帰る事にした。

私の心の中は漠然とした不安が渦巻いていた。

有ちゃんは優しいから、たぶん無かった事には

出来ないだろう。

どうするのかな‥‥






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