第2話

暫く恋愛はいいや、と思っていたが

同じ部署にいる2歳年上の鈴木健二さんが

やたら視野に入る。

これって、目で追ってるって事だよな。

その人は常に穏やかで、愚痴や悪口を

言ってるのなんか聞いた事がない。

背も高くスーツが似合う人。

今までの私は、どちらかというと

荒々しい人がタイプだったのだが

鈴木さんは、静かな小川のせせらぎ?

って感じで。

前の彼氏の事もあるので

安らぎを与えてくれそうな人を

求めているのかもしれない。

噂によると鈴木さんは、隣の部署の人と

付き合っているらしい。

なんだ、彼女いるのか‥‥

でも、結婚はしてないもんね、

とポジティブな思考が働き出した。

まだチャンスあるかも。

私は頑張った。

まずは、存在を感じてもらう事。

用もないのに話しかけたり、

些細な事でも明るく笑い、周りを和ませる。

そんな努力のかいあってか

お昼に食事に誘ってくれるようになった。

近くの定食屋、お蕎麦屋

嬉しくて何処にでも付いて行った。

2人でお昼に行くようになってから暫くすると

「彼氏いるの?」

ただ軽い気持ちで聞いて来たのか

少し興味を感じていて聞いて来たのかは

定かではないが、当然のことながら即答。

「いませんよ」

私は調子にのって

「好きな人はいるんですけど、彼女いるんで」

鈴木さんの反応を伺った。

「そうなんだ」 と笑顔。

ん〜 この反応はわからない。

その時はそれで話しは終わった。

勝手にモヤモヤしながら毎日を過ごす事

約1ヶ月。

「帰りにゴハン食べに行かない?」

エッ!

お昼ゴハンは誘われても、夕飯の誘いなんて

初めてだ。

あ〜

もう少し可愛い洋服着てくれば良かった。

微かな期待を胸に秘め、就業の鐘が鳴るのを

今か今かと待った。





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