第3話

待ちに待った就業を知らせる鐘が鳴った。

私と鈴木さんは時間差で退社し

それぞれ待ち合わせ場所の居酒屋に向かった。

私はアルコールを体質的に飲めないが

彼はビールを美味しそうに飲んでいる。

最初こそ仕事の話しをしていたが

次第に内容が変わって行った。

ほろ酔い加減の鈴木さんが

「自惚れかもしれないけど、恵理ちゃんの

好きな人って俺だったりする?」

初めて名前で呼んでくれた事にまず驚いた。

「えっ何でですか?」

「もしそうだったら、どうします?」

すると、

「まだフリーなら俺と付き合ってほしいな」

何言ってんだ。

彼女いるじゃんか。

「私はフリーですけど、鈴木さんは彼女いるじゃないですか」

即答で返事が返って来た。

「別れたよ」

瞬時に顔がニヤけてしまった。

「私、ずっと鈴木さんの事が好きでした」

もう隠す必要もないし、第一抑えきれなかった。

「俺さ、気がつくと恵理ちゃんの事を目で

追ってて、あ〜好きなんだなって。」

「だから、ちゃんと彼女と別れてから

告白しようと思ってたんだ」

なんて誠実な。

やっぱり思った通りの人だった。

お互いの気持ちがわかってしまったので

2人の距離がグッと近づくのが感じられた。

電話番号は知ってはいたが

LINEのやり取りはしてなかったので

次の日から楽しい日々が始まった。

お互い仕事中はただの同僚として接し

帰りに会っている時などは恋人として

仲睦まじく過ごした。






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