だって、好きなんだもん

藤川めぐみ

第1話

短大を卒業し、就職してから早2年。

仕事にも慣れ、職場の人達と楽しい毎日を

過ごしている。

自動車関係のディーラーに就職した為

7対3の割合で男性社員が多い。

他社に入った友人の職場では、

先輩女性達に嫌がらせを受けたり

イジメにあったりしてると聞く。

そんな話しを聞く度に

あ〜この会社で良かった。

と、つくづく思う。

平穏な日々を送れているのは結構な事だが

ん〜 何かが足りない。

彼氏がいない‥‥から?

同僚が、

「今日はデートだから、勝負下着なんだ」

などとニヤケた顔で話してるのを聞くたび

羨ましく思った。

短大時代に付き合ってた人はいたのだが

まぁまぁ辛い思いをした。

大好きだった彼と付き合う事になり

最初こそルンルン気分だったのだが

その人は病的な束縛屋だった。

女友達と食事に行くのも疑われ

買い物をして帰ると帰宅が遅い。

男と会ってたんじゃないのか。

1日何回も居場所を報告しなくてはならず

おちおち友達とも会えない。

苦痛以外のなにものでもなかった。

もう別れる事しか頭になく

ついに決心して思いをぶちまけた。

「もう、あなたとは居られない。」

「私はあなたの所有物じゃない」

すると

「お願いだから、別れるなんて言わないで」

「俺、心を入れ替えるから」

涙を浮かべて言う彼に一瞬気持ちが

揺らいだが‥‥

いやいや、性根が治るはずがない。

「申し訳ありませんが、無理です」

と、あえて堅い言葉で断った。

ファミレスで2時間くらい話した記憶が

残ってる。




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