第11話

藤本さんに会った次の日、出社するのが

少し怖かった。

別に告白されたわけでもないし、ただの友達?

と遊びに行っただけだ。

でも、健ちゃんには嘘をついている。

 何処に行ったの?

 何か買った?

そこら辺の事は聞いて来るだろうから

ちゃんとストーリーは考えて来た。

お昼に誘われ、案の定、想定内の質問が。

定食屋でランチを食べていたのだが

隣の席の人がメニューの端で手を切ってしまっていた。

その時健ちゃんが

「そういえば恵理ちゃんさ、海で男の人に

バンドエイドあげてたよね」

ドキッ! とした。

「そんな事もあったね」

と平然と言ってのけたが、声が小さくなってしまった。

「あげなくてもよかったんじゃない?」

「どうせ濡れてすぐ取れちゃうし」

あれ?

何かいつもと感じが違う。

だったら、その日に言えばいいのに。

あれから何日も経ってから。

もしかして、ヤキモチ焼いてたのかな?

いつもの温厚な姿は影を潜めていた。

普通ならヤキモチ焼かれると嬉しいはずなのに不思議と嬉しくなかった。

日曜日に会った2日後、藤本さんからLINEが

来た。

《相模湖、楽しかったね。》

《今度の日曜日も、会える?》

嬉しかったが、さすがに2週続けて健ちゃんの

デートは断れない。

《ごめんね。今度は無理かな》

気持ちが揺れていたが仕方ない。

《そっか。残念だな》

《気が変わったら連絡ちょうだい》

ん〜 藤本さんと会いたい。

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