第15話
車に戻ってからソッとスマホを見ると
エッ! ストーカー?
と思えるほどのLINEが。
ま、既読にもならないものだから
心配もしていたと思うが。
何て返信しようか心底悩んだ。
出した結論は、家にスマホを忘れて出掛けた。
これにしようと、その場では返信せず
家に帰ってから送ればいいや、と考えた。
まだ6時前。
これからどうするのかと思っていたら
「うち、この近所なんだ。来る?」
えーーーー!
予想もしてなかったお誘いに焦った。
この流れって、もしかして‥‥
心の準備が‥‥
まるで読まれたかのように有ちゃんは笑顔で
「大丈夫だよ。何もしないよ」
いやいや、何かしてよ。
車で20分くらい走り、小綺麗なマンションの
駐車場に到着。
エレベーターで3階へ。
初めて入った有ちゃんの部屋は2Kで
案外キレイに整理されていた。
もしかして、最初から誘うつもりで掃除を
したのかな。
アイスコーヒー出すから、適当に座っててと。
2人掛けのソファーがあったので座り
キョロキョロと観察した。
白と黒のモダンな感じの大人っぽい部屋だ。
ガチャガチャ物が置いてないのも好印象。
飲み物を持って来てくれた後、
2人並んで、なんて事ない話しで盛り上がった。
2時間くらい居ただろうか。
「ね、俺たち付き合わない?」
突然の告白。
嬉しい気持ちを抑え込み
「私さ、知ってると思うけど彼氏がいるよ」
「うん。知ってる。別れてほしいな」
何と積極的かつ強引な。
黙って下を向いてた私の体を引っ張って
抱きしめられた。
そして、その強引さとは違う優しいキス。
もう有頂天にならないわけがない。
でも健ちゃんの事を嫌いなわけではないので
すぐに別れるとは言えなかった。
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