概要
舞台は紀元前630年頃。現在の山西省に晋という国があった。いわゆる春秋時代の大国である。
逆臣を父にもつ郤缺(げきけつ)は野に隠れていたが見つかり、文公に仕えるようになる。人々にとって賢君の文公であるが、郤缺にとっては跡目争いのあげくに敵方だった郤缺の父を処刑した男であった。
郤缺は、父の仇に許され生き長らえることとなる。
春秋左氏伝を元に好き勝手ストーリーをねじ込み、人間関係を想像の翼を思いきり働かせて捏造構築、史書には脇役のように出てくる郤缺さんの半生をえがいてます。
序盤数話に五十代半ばのおじさんが三十代半ばの郤缺を囲って愛人にしているBLシーンがあります。具体的な性描写はありませんが一応セルフレイティング入れておきます。
また、戦争シーンのため暴力描写セルフレイティング入れてます。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!春秋の片隅で強かに咲いた漢! 逆臣の汚名に打ち克った、晋國宰相の物語!
主人公は郤缺(げきけつ)。歴史書の彼に関する記事はごく僅かです。
春秋の英傑たちの傍で、まるで地を這うように郤缺は人生を刻みます。逆臣の父を持ち、前半生を不遇に過ごした彼には、役者を志し、けれども長く下積みにあった名優、トミー・リー・ジョーンズに通ずる渋味があります。
後世に晋随一の宰相と評される天才、士会との友誼は、物語のハイライトの一つです。
なぜ、作者は彼を主役に据えたのか。それは分かりません。ただ、郤缺自身はさぞ驚き、そしてこの大河小説を喜んでいるに違いありません。
お勧めします。
素敵な作品をありがとうございました。
(メモ、長編45、完結済、全話読了) - ★★★ Excellent!!!情は、物語における理である。
本作に用いられた言葉を歪めて用いる悪逆を、ご苦笑願わねばなるまい。
この陰惨絢爛なる政治劇では、為政者たちの才能を「情」「理」に区分けする。それらがつかず離れず、ときに「理」が「情」を組み伏せ、あるいは「情」が「理」と韜晦する様が描かれる。当レビュー筆者は、敢えてこの「理」「情」を“情”としてまとめ上げる。すなわち、意図、計算、反応、感情。この物語では、これら“情”が強固に縒り合わされ、歴史的事績が、さも必然であるかのように仕立て上げられている。化物か、である。
春秋。
その解釈書としての左氏伝、穀梁伝、公羊伝。
それらの換骨奪胎のだしがらし、史記。
あえて史記にのみ話を絞ろう。この後…続きを読む - ★★★ Excellent!!!春秋戦国の世に、「晋」という国があった
実はこの「晋」という国、馴染みのないように見えて、(おもに)宮城谷昌光氏によって、いろんな人物を中心に据えて小説化されている。
『重耳』『孟夏の太陽(趙盾含む趙家)』『沙中の回廊(士会)』
私は宮城谷昌光氏のファンなので、このあたりの作品は全部読んでおり、登場人物の来し方、行く末はだいたい頭に入っているわけですが……
それでも、この作品は充分に面白い。
本作は末代までを描いてはいないものの、人ではなく「晋」という国のありよう、その覇権国家としての栄華とやがて来る凋落の予感を描いている。
主人公に据えたのは、「郤缺」で、逆臣の子、という立場から卿にまで上り詰めたその人生は華々しい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ネタバレなしで読みたい、史書の行間に息づく人々と物語
春秋戦国時代……なんだかんだで「キングダム」に続くんですよね? ていどの知識で読み始めた者です。難しいかも……腰を据えて掛からねば、と思っていたのですが、読み始めたら先が気になって仕方なくて次から次へと読み進めて、気付いたら読了していました。
歴史ものは「史実」というどうしようもないネタバレが存在してしまうのですが、読み終えるまで検索は封印しよう! と決意させるほどに、主人公格の郤缺はじめ、彼を取り巻く人々と当時の情勢、それらが織りなす物語に惹き込まれていました。魅力的な登場人物は多いのですが、特に郤缺について。礼節を弁え自己抑制に長けたストイックに描かれた彼をして感情のコントロールを…続きを読む - ★★★ Excellent!!!逆臣の子から忠臣へ
読ませていただきました!
昔春秋戦国時代大好きでガッツリハマった時期がありまして…ただほぼ忘れておりましたので、郤氏、晏氏が活躍する前あたりだったかな?とふわふわした感じで読み始めてしまいました。
迂闊でしたね、作者様の情報収集等が読んでみてとれました。歴史書逸話とかあるならまだしも、大抵一文とかしかいない事あるから…
これは春秋戦国時代大好き人間たちに進めたいです…!なんだか普通の歴史の単行本見た気分になるくらいめっちゃ重厚な物語。
私はまったり読ませていただきました。
作者様の注釈などもあり、この時代をわからない方もすんなり入れるのではないでしょうか?!
舞台は晋、郤缺という逆…続きを読む