父の仇に許され生きた逆臣の子が見た晋とは

古代中国、時は春秋と呼ばれる頃。
家父長制や礼や徳、そういった思想の根ざした古代中国である。その時代において父の喪も祀ることも赦されぬというのはどれほどのものか。
人々の思想というものを、現代日本人が丸ごと全て理解できるかといえば、きっとそうではないのだろう。けれど「どう思っていたのか」ということをこの作品は十分に推し図らせてくれる。
長い長い歴史の中、この時代すら一瞬であるのかもしれない。しかしそこを切り取り寵臣ではなく逆臣とされた者の子を中心に描き出す、これが非常に興味深い。
古代中国史を知らずとも、十二分に楽しめる作品だろう。噛み砕いて咀嚼しやすくしてくださっている。
彼は何を思い、何のためにその時代を駆け抜けたのか。まるで歴史書を捲っているかのような、そんな歴史小説でした。
ぜひともそのはじまりから終わりを見届け、後のことに思いを馳せて欲しい。ぜひご一読ください。

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