父の仇に許された
はに丸
第一部
第1話 序章
「どうしてこんなことを」
「郤主は
と讃えることも多い。己としてはそれほどの者ではないと思うのだが、賛辞は好意である。郤缺は謹んで受け止めている。
そのような郤缺であるにも関わらず、喉奥から
「どうしてこんなことを」
と再び言った。同じ言葉をくり返しているのは、未だ混乱しているからであろう。
「
「あんまりその疑心の目がうるさいので、私は汝を囲っている、郤主は年はいっているが私の情人だと応えた。応えたからには、事実にしておいたほうが良い」
「そんな愚かなやりとりで、同意も無く! 既成事実を作ったのですか! いや、本当に、愚か、ありえない、嘘だ」
郤缺は眩暈さえ感じて、突っ伏した。死にやがれこのオヤジとも思った。他人に対してこのような不快な感情をいだいたのは初めてである。
この、ちまたでは沈毅貞節と言われる
どうして、このような目にあっているのか。郤缺は突っ伏したまま目をつむった。さて、それに関してはこの二人が何故共にいるのか、史書には全く無いそれを語らねばならず、それは逆臣の息子であった郤缺が許されるところから始まる。
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