良作！　作者のギャグセンスはどうかと思うが、小説として面白いのは確か。オカルト的な怖さをまるで感じなかったが、実はそういう演出？

本編2話まで読んだ感想です。お役所とオカルトを融合させた作品にはいくらか遭遇しましたが、この作品はその中でもとびきり現実っぽさがあって、不思議な読後感でした。本当に特自災害という部署があって、お仕事をしていたらこんな感じだろうなという説得力のある一作でした。
苦労人の美郷さんには思わずエールを送りたくなります……。掌編の方もじっくり読ませて頂きたいと思います。

「怪異」が起きやすい架空の都市「巴市」で繰り広げられる、怪異系お仕事もの。
有名一族の出なのに公務員をやってる少し訳アリ青年・美郷を主人公に、現代で起こる怪異を時に美しく、妖しく、そしてお役所仕事の雑務に追われながら解決します。
情景が目に浮かぶような美しい描写と、リアリティあふれるお役所仕事の描写が同居する作風は、奇麗で妖しい「あっち側（怪異）」の世界、思わずうなづいてしまう親近感、どちらも楽しめます。
美形で穏やかな陰陽師・美郷と、ヤンキー外見だけど情に厚い山伏・怜路とのコンビも面白いです。

現代に怪異事件があったらどうなるか、古より怪異と隣り合わせの街『巴市』の総務部危機管理課特殊自然災害係に採用された、高名な陰陽師の家系の青年の物語です。
史実や実際の伝説に沿ったストーリーも面白く、非現実的だからとオカルトを敬遠される方にもオススメ。
飲み屋のあんちゃんでもある現代山伏、狩野怜路とのバディものとしてもオススメです。